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2009.05.01

「水滸伝」 第03回「熱砂の決斗」

 妻・小蘭の消息を求める林中の前に、梁山泊からの使者・戴宋が現れる。戴宋が勧める梁山泊入りを断り旅を続ける林中の前に現れたのは、林中捕縛の命を受けた済州の守備隊長・楊志だった。長い決闘の果てに林中に敗れた楊志は、捕らえていた小蘭を釈放するが、手柄を狙った副隊長が彼女を人質にし、林中を誘き寄せる。林中を逃がすため、その眼前で小蘭は自ら命を捨てるのだった。

 比較的原典に沿っていた前二回に比べ、ほとんどオリジナルストーリーだった今回。ポイントとなるのは
・青面獣楊志との対決
・梁山泊の初登場
・小蘭の死
の三つでしょう。

 まず楊志ですが、原典ではニヒルというかクールというか、はっきり言うと根暗な印象の強いキャラなのですが、本作ではなかなかに男臭くて不敵なキャラとして描かれています。それもそのはず、楊志を演じるのは佐藤允。左文字小隊の戸川軍曹なんですから、どこまでもふてぶてしい反骨精神の固まりのような好漢として描かれているのは当たり前ってものです。

 本作ではその腕を高く評価されながら、高求に睨まれて地方に飛ばされたという設定の楊志、林中と戦う理由も、報償として捕らえた扈三娘を我が物にするため、というのがなかなか生臭いですが、しかし林中との四日四晩の決闘(やりすぎ)に敗れた後は、事前の約束通り潔く彼女を解放するところはやっぱり男らしくて最高です。

 そしてそんな林中と楊志の対決の一方で、梁山泊が初登場。しかも本作では、梁山泊の方から林中を仲間に加えようと、戴宋(得物は手甲に仕込まれた短刀なんですが、手甲から垂直に立ち上がるからえらい使いにくそうで…これは余談ですが)を遣わすというのがちょっと面白いアレンジです。初代頭領の王倫は原典ではさんざん林中の仲間入りを渋ったのに…まあ、堅物林中は盗賊の仲間になぞなれるか、とあっさりこれを断るのですが。

 が、そこまでして求めた小蘭も、あと一歩で再会できるというところで官軍に捕らえられ、林中を必殺の罠に誘き寄せるための人質に…前回、高求に汚されたことを気に病んでいた小蘭は、哀れ自らの命を捨てて夫を生かす途を選ぶことになります。ある程度は予想されていたとはいえ、これはキツい展開…
 しかし、小蘭を演じた松尾嘉代はえらくフォトジェニックで、溌剌たる土田早苗の扈三娘と並んでも全く遜色はない…というより美女ぶりでは遙かに上。本作では――他の水滸伝翻案でもまま見られるように、というか本作が元のような気もしますが――扈三娘は林中に想いを寄せているのですが、しかしこれは強力すぎるライバルですなあ…


 そして水滸伝ファン的にひっくり返ったのは、途中のエピソードに登場する悪地主。高求に賄賂を送って、地元の庶民たちを苦しめていたその地主の名は時遷…っておい!
 最初は聞き違いかと思いましたが、EDクレジットで確認しても確かに時遷。しかも改心したり仲間入りしたりすることもなく、あっさり林中に討たれてしまって…百八星に最初の犠牲者が!?<違います

 本作では、原作では百八星に列する人物が、梁山泊に加わらなかったり、途中で死んだりというのは聞いていましたが、まさかその第一号がこれとは…いや、おそれいりました。もっとやって下さい。


 あと、地味に李成と聞達が出ているのも面白かったですね。EDクレジット見るまで完璧に忘れてたくらいの存在感でしたが…


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