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2009.06.06

「ICHI」第2巻 市の存在感が…

 映画の方は遙か昔に終わってしまいましたが、漫画版はまだまだ続く座頭のお市の物語、「ICHI」の第2巻です。連作短編的であった第1巻に比べ、この巻ではほぼ通しのエピソードとなっており、いよいよ本筋に入ってきた感があります。

 市と十馬の前に現れた青年剣士・伊庭八郎。彼が二人に、そして試衛館の近藤・土方・沖田に持ち込んできたのは、何と皇女和宮の護衛の任。
 和宮降嫁を阻止せんと、長州の桂小五郎らが暗躍する中、長州側に、凄まじい剣技を持つ盲目の剣客がいることを知った十馬は、普段とはうって変わった表情を見せることに…

 と、この巻でかなりの部分を割いて語られるのは、十馬の過去話であります。
 市の相棒とも何ともつかぬ不思議な距離感で、へらへらと脳天気に振る舞いながらも、その実、剣の腕にかけては人並み優れたものを持つ謎めいた十馬ですが、その正体は、何と柳生の血を引くサラブレッド。
 幕末に柳生って…と思われるかもしれませんが、その辺り、十馬の先祖をちょっと面白い人物に設定することにより、因縁付けているのはなかなかうまいところです。

 その十馬が放浪の旅に出ることとなった、その原因の男が敵方の剣客に…というのは定番展開ですが、そこにこれまたこの時代の作品には定番の和宮降嫁ネタを絡め、さらに実在の剣豪たちを引っ張ってきたことにより、なかなか賑やかな物語になってきました。


 が――それはまさに諸刃の剣。十馬、そして歴史上の有名人たちにスポットを当てた結果、この巻ではほとんど完全に市の存在感が薄れてしまっているのです。

 これは幕末もののフィクションにままあることですが、あまりに史実(出来事や人物)がドラマチックすぎて、物語オリジナルの部分が色あせてしまうという状況に、本作も陥ってしまったのかな…と感じます。

 今後、市の過去が語られるようですし、市の存在感が増すことが、物語を史実に負けない面白いものにしてくれることを期待するところです。


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