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2009.07.23

「夕ばえ作戦」第1巻 夕ばえは現代に輝くか

 平凡な高校生・砂塚茂は、ある日親友の風間明夫に強引に誘われ、彼の家を訪れる。風間家の奥の聖域に現れた光の柱を目撃し、その柱をくぐった二人が飛び込んだのは、忍者同士の争いの場だった。時を超えて慶長八年、幕府と風魔忍者の戦いに巻き込まれた二人の運命は…

 光瀬龍先生の名作「夕ばえ作戦」のコミカライズ版については連載第一回目に興奮して取り上げましたが、その第一巻が遂に刊行されました。

 原作は四十数年前に「中一時代」誌に連載されたジュヴナイルですが、偶然江戸時代にタイムスリップした現代っ子たちが、風魔忍者を向こうに回して大活躍を繰り広げるという痛快な作品。
 この漫画版では、その基本設定とキャラクター配置をベースにしつつも、原作のさすがに古めかしさを感じさせる部分をアレンジし、さらに漫画版独自の設定を加えることによって、原作読者――というより原作の大ファン――である私にとっても、なかなかに新鮮な作品となっています。

 その独自設定の最たるものは、主人公である茂の親友、明夫にまつわるものでしょう。
 原作ではごく普通の少年だった明夫ですが、こちらでは自宅に何やら過去から続く秘密を持ち――その最たるものが茂と明夫をタイムスリップさせた謎の光なのですが――しかも、風魔忍者の総帥・風魔小太郎吉春とは瓜二つという少年。
 しかも祖母は一連の事件の秘密を何やら握っているらしく(というよりあのキャラと同一人物に見えるのですが)、いずれにせよ、明夫と彼の家が、この漫画版のキーとなっていると言って間違いはないでしょう。

 とはいえ、明夫自身は、そして茂も普通の少年。ごく普通の現代の少年がタイムスリップした先で大活躍するという本作の魅力は、これからも変わらぬままで描いて欲しいものです。


 正直なところ、第一巻の時点では、先の展開は見えませんし、脚色の押井守一押しの――いや、原作読者であれば皆一押しであろう――風魔の姫でヒロインの風祭陽子も、まだまだ活躍はこれからという印象。
(というか現時点ではどう見ても高尾先生がヒロインなんですが、これはこれで良し)
 もちろんまだ物語は序盤、ストーリーもキャラクターもこれからが本番でしょう。画的には全く問題なし…どころかかなりマッチしていますし、押井節が強くないのも好印象。

 変わらぬ部分と変わった部分――原作の魅力はそのまま、現代ならではの「夕ばえ作戦」が見られることを、楽しみにしているところです。


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