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2009.07.15

「水滸伝」 第10回「梁山泊軍、江州に躍る」

 拷問死を恐れる戴宋は、宋江を説得して偽りの自白をさせる。都の父に宋江の処遇を仰がんとする蔡九知事により使者に立てられた戴宋は梁山泊に向かい、公孫勝の策で偽手紙を持って帰る。が、印が違うことから黄文柄に偽物と見破られ、宋江と共に処刑台に立たされる。そこに駆けつけた林中たちだが、高求の指示により堅い守りを固めた官軍により窮地に陥る。が、そこに現れた張順の活躍で一行は水路から脱出、乱戦の中で黄文柄も倒れ、歯がみする高求に林中は会心の笑みを向けるのだった。

 原典でもクライマックスの一つであった江州篇の後編であります。無実の罪で捕らわれた宋江を救うべく活躍する梁山泊の好漢たちと、黄文柄率いる官軍の丁々発止の攻防戦が実に見応えのある回でした。

 展開的にはほぼ原作通りで、使者に出た戴宋が偽手紙を持って帰るも見破られて…というお馴染みの件も、ほぼそのまま再現されています。
 この場面、原典では呉先生の単なる(?)うっかりによるものですが、このドラマでは呉先生に当たる役回りの公孫勝が、都でのビジネスマナーを知らずに印を間違えてしまったという理由付けがなされていて、それなりのフォローが…されていませんね。いくら世俗を離れた道士とはいえ、やっぱりちょっと恥ずかしいミスであります。

 それはさておき、ここから先は危機また危機のサスペンスフルな展開の連続。特にクライマックスで、慎重に救出作戦を立てていた林中たちと別行動を取っていた武松が、KYに単身突撃を仕掛けたのがきっかけで大乱戦になってしまう辺りは、面白いアレンジだったと思います。
(もっともこの場面、官軍側の備えが一枚上手で、そのまま作戦を実行しても救出できたかは微妙ですが…今回はわざわざ見物にやってきた高求ですが、さすがは策士、黄文柄を未熟者呼ばわりすることはあります――ラストで自分も水路を見落とすという大チョンボをするんですけどね)

 原典ではこの江州篇は、かなりの人数の好漢が一挙に加入するエピソードでもあったのですが、このドラマ版では張順のみというのがちょっと残念なところ。
 とはいえ、前回の感想にも書いたとおり、張順がなかなか気持ちの良いキャラクターとして描かれていて、クライマックス、好漢たちが遂に追い詰められて絶体絶命の危機! というところに素晴らしく良いタイミングで現れるのが格好良い。
 水路からの脱出も、水門を開けるため単身水中から敵地に忍び込むという、いかにも「らしい」場面があったのも嬉しいところです(まあ、原典読者的には死亡フラグにならないかちょっとハラハラしましたが)。

 そしてラスト――遂に直接対峙した高求に対し、船の上から林中が自分の名前入りの短刀を投げ、それが高求の顔のすぐ脇に突き立つシーンは、お約束ながら痛快の一言。
 今回は本当に苦戦した梁山泊でしたが、しかしこのラストで一気に溜飲が下がった――そんな印象です。


 ちなみに今回はコミカルなシーンは極力控えめだったのですが、その中で、優柔不断ぶりを発揮してのらりくらりと宋江の処刑を先延ばししようとする蔡九と、強行に処刑の即断を主張する黄文柄のやりとりは、当時の文官と武官の対立の構図も垣間見られて、なかなか面白い場面であったと思います。
 それにしてもこの黄文柄、前回同様、猛烈に憎々しくも、次々と梁山泊側の策を見破り、好漢たちを窮地に陥れる切れ者ぶりが強く印象に残ったのですが、ラストに、武松のほとんど流れ弾同然の槍投げ攻撃に斃れたのは、残念というかざまをみろというか…


 ちなみに今回、宋清が宋江の実家のシーンで地味に登場。青い衣装だけが印象に残る普通の人でした。扈三娘により、父ともども梁山泊に誘われたようです。


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