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2009.07.24

「水滸伝」 第11回「さすらいの勇者」

 旅芸人・白秀英の一座に同行し、都にやって来た花栄は、今は高求と癒着している親の仇・張文遠の命を狙う白秀英に助太刀することとなる。一方、花栄の妹・玉蘭の夫である黄信は、高求から厳しい追及を受け、兄と弟の板挟みになった玉蘭は自らの命を絶つ。張文遠を餌に花栄をおびき寄せた高求だが、そこに花栄を救わんと林中が乱入。花栄と対峙した黄信は、敢えて花栄の刃を受けて斃れる。林中と花栄は、黄信の死を悼みつつ、梁山泊に向かうのだった。

 この数回、豪快な好漢たちの大暴れが描かれてきましたが、今回は悲劇的なエピソード。青州篇に登場した花栄と黄信の関係の完結編とも言うべき内容です。

 このドラマ版の原案としてクレジットされている横山光輝版の水滸伝では、黄信はむしろ、原典の霹靂火秦明の役どころで、宋江と花栄の騒動に巻き込まれて、妻子を味方である官軍に殺されてしまうという悲劇のキャラクターとして描かれました。

 原典では青州軍の人間だったのに対し、このドラマ版では高求配下の近衛兵、しかも妻は花栄の妹(ちなみに原典では秦明が妻と死別した後に花栄の妹を娶っています)という設定で、立場的にはより一層厳しいものとなってしまった黄信。

 そのために高求から厳しい追及を受け、果ては高求の眼前で、自分の手で妻を拷問にかけることを要求されるという、見ているこちらにとっても精神的にキツいことこの上ない展開であります。しかもその直後、妻は自害…。

 そしてクライマックスの戦いの中で花栄と一騎打ちするも、実は自分の剣の刃を潰しており、敢えて花栄の刃を受ける黄信――理不尽な運命に対して、反逆者となって怒りを爆発させるのでなく、あくまでも軍人としての本分に従いつつ、妻と義兄への義理を果たして自らの命を捨てる…ラストで林中が語ったとおり、「真の武人」に相応しい姿でした。
(しかしこの黄信像、むしろ日本の浄瑠璃もの的ですね)

 と、その一方で花栄は旅芸人と何となくいい感じになって一緒に旅をしているという自由人っぷりがユニークではあります。
 面白いのが、その旅芸人が白秀英であること。原典では同じく旅芸人ながらも、性悪女で雷横の怒りを買って殺された彼女が、こちらでは仇討ちのために苦労を重ねる貞女烈婦の鑑として描かれています。
 しかもその仇というのが、原典では宋江の部下の色男で閻婆借と通じ、宋江の閻婆借殺しの遠因となった張文遠。
 ドラマ版では、白秀英の親を殺して財産を奪って成り上がり、同じく成り上がり者の高求の後ろ盾となっているという人物ですが、余りにもやりすぎて高求に疎まれ、花栄を誘き出す餌に使われてしまうという展開も、ひねりがあって楽しめました。


 さて今回、黄信は梁山泊に入ることなく命を落としてしまったわけですが…まあ北方版みたいなものだと思いましょう。
(本当は時遷の方が先に死んでますが、あれはあからさまに同名異人だったので)


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