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2009.08.01

「戦国ゾンビ 百鬼の乱」第3巻 鬼人の正体、そして…

 戦国パニックホラー「戦国ゾンビ」も単行本三巻目まできて、起承転結の「転」に至った印象。ついに鬼人(ゾンビ)出現の原因と、その背後の狂気の企てが明かされます。

 更なる犠牲を払い、ついに天目山地下に広がる地下城塞に辿り着いた信勝と赤葬兵一行。そこで彼らを待っていたのは、死んだはずの山本勘助…
 というわけで、本作最大の謎だった、戦場に鬼人が――それも天目山の戦と期を一にして――現れたのか、が語られることになりますが、それが一ひねり二ひねりあるのが実に面白い。

 最初のゾンビ研究者(永田徳本というチョイスに驚きつつも納得!)、山本勘助復活の秘密、天目山地下での鬼人研究の新たな目的(最初の目的はすぐに想像できましたが、こちらの方はあまりに無茶で…「信長の野望 妖魔編」を思い出す方はそうはいないと思いますが)…伝奇的に実に面白いアイディアが目白押しで、大いに感心いたしました。

 物語的には、これだけの地獄を生み出し、天目山地下で悪鬼の所業を繰り返していた山本勘助が、存外あっさりと改心したように見えるのに最初は違和感を感じましたが、窮余の策とはいえ、武田家を救うための策があまりに皮肉な結末を生んだことが、彼の心に大打撃を与えた、ということなのでしょう。

 さて、鬼人の正体と、この地獄からの脱出策が判明したことで一筋の光明が見えたかに見える主人公一行ですが、しかしそこに新たなる敵の存在が。
 何としても武田家を滅亡させんとする徳川家康麾下の二人の本多――最強の武人・本多忠勝と、謀略の達人・本多正信、二人の追撃の手が、差し向けられることになります。

 考えてみれば鬼人というのは確かに厄介な敵ではありますが、物量が最大の武器であって目的も知性も技もなく、ドラマ的に見ると敵役というよりもむしろ障害物的な存在。
 ここで明確な敵意と、主人公側に勝るとも劣らぬ技量を持つ敵を投入するというのは、なるほどラストに向けて物語をさらに盛り上げる妙手だわいと感心します。

 特に本作でも(?)人間離れした戦闘力を誇る本多忠勝は、実質的な主人公である土屋昌恒をライバル視しており、その激突は避けられないところ。ワンマンアーミー同士の激突がいかなることとなるか、今から楽しみです。
(そんな有名人を出す一方で、辻弥兵衛のようなマニア好みの人物を出してくるのがまた心憎い)

 おそらくはあと一、二巻程度で完結かとは思いますが、最後まで目が離せない作品となるであろうことは間違いありません。


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