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2009.08.06

「デアマンテ 天領華闘牌」第3巻 茨の道往く二人の運命は

 江戸時代の長崎は丸山遊郭を舞台に描かれる時代サスペンス「デアマンテ 天領華闘牌」の第三巻は、物語が急展開。主人公・かなの父の死にまつわる事件の真相が、ついに語られるのですが…

 第二巻では、物語の本筋からは少し離れた短編連作エピソードが続きましたが、この第三巻で描かれるのは、唐人屋敷を舞台とした抜け荷事件の真相と、もう一人の主人公・金剛太夫の正体という、作品自体の根幹を成す物語であります。

 贋金作りの濡れ衣を着せられ、獄死したかなの父が、事件直前に出入りしていたという唐人屋敷に潜入した金剛とかな。
 そこで出会った京劇団の女形の協力を得て、幾多の危険を乗り越えつつも、二人は、清国商人が何事かを企んでいることを知ります。

 実はこの女形は男装の麗人、男でありながら太夫として行動する金剛とは一対の関係。しかもその行動の裏にある目的は金剛と同じという、まさにもう一人の金剛と言うべき存在ですが、このややこしい彼女と彼を通じて描かれる、一種の潜入捜査官もの的ストーリーは、そこに男女の情も絡んで起伏に富み、これだけでも十分に面白いのですが…

 しかし、そんな印象を一気に吹き飛ばしてしまいかねないのが、本書の後半の展開です。

 もともとかなが金剛太夫の禿として丸山にいたのは、事件の真相を暴いて死後とはいえ父の名誉を回復し、弟の流刑を防ぐため(年少のため、すぐには島に送られないものの、成人したと同時に流刑となる定め、という設定がうまい)。
 父を死に追いやった抜け荷事件の解決により、そんなかなの念願も叶ったかに見えたのですが…

 彼女を待っていたのは、しかし、あまりにも残酷な運命。そしてそれを理不尽に感じ、長崎奉行に必死に訴えかけた金剛もまた、己が信じた正義と、奉行の正義が異なるものであったことを思い知らされます。
 さらに二人を待つ残酷な別れ…表面上は収まるべきところに収まり、それなりに幸福なその結末に、二人はあえて異を唱え、茨の道を歩み始めたところで第三巻は幕に――

 己の守ろうとしたもの、己の信じたものに背を向けた二人にとって、果たしてここから先どのような運命と、結末が待ち受けているのか…
 正直なところ、あまりに重く、辛い展開ではありますが、最後まで見届けるのが、ここまで読んできた者の務めでもありましょう。


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