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2009.08.04

「無宿狼人キバ吉 番外編 復讐の炎は牙に散れ」 人と邪魂魔道の間に

 昨日取り上げた「無宿狼人キバ吉」の第二巻と同梱されていた(というより出版社のサイトによればこちらの方がメインなのですが)、ドラマCDであります。
 「ONE PIECE」のゾロ、「戦国BASARA」の伊達政宗などの声を担当している中井和哉をキバ吉役に、オリジナルストーリーが展開されます。

 邪魂魔道を求めて旅するキバ吉が上州で出会った事件であるこのエピソードで描かれるのは、山賊「炎猫牙」一党との対決。
 男に恨みを持つ女山賊・雷花に率いられた女ばかりの「炎猫牙」と、彼女たちと対立する地廻りの虎造一家、そして土地に暮らす少女・お清――そんな人々とキバ吉の出会いと別れが描かれます。

 このエピソードで目を引くのは、登場する邪魂魔道が、漫画本編に登場するものと些か異なる点でしょう。
 邪悪な欲望や本能のままに暴れ回るものがほとんどだった邪魂魔道の中で、本作のそれは――やはり欲望のまま暴れ回ってはいるのですが――人間、いや男に恨みを抱き、一種復讐とも言える行動に出ることにも、それなりの理由が描かれているのです。
 この辺り、いくらキバ吉が、彼女たちをそのような境遇に追いやった男たちを、守るべき人間のうちに入っていないと言ったとしても、人間と邪魂魔道にいかほどの差があるのか…という気持ちになります。

 しかし、ヒロインの存在が、それと全く逆の意味で人間と邪魂魔道に違いがないことを示してくれるのが心憎いところ。
 渡世人の世界という、男性原理が貫く世界において、女性を中心に物語を展開してみせた本作は、なるほど確かに「番外編」なのかもしれません。

 このようにストーリー的にはなかなか面白い本作なのですが、しかしどうにもいただけないのはその脚本・演出。ネガティブなことは言いたくはないのですが、あまりにもナレーターにト書きを言わせすぎるのが何とも…

 相変わらずの中井侍ぶりながら、ワイルドなキバ吉をうまく表現していた中井和哉、珍しくも雷花という女性キャラを演じた田中真弓、両氏をはじめとする声優陣はアベレージの演技だっただけに、これは何とも残念に感じた次第です。


 …あ、今回キバ吉がほとんど全く獣に変身していない。


「無宿狼人キバ吉 番外編 復讐の炎は牙に散れ」(森野達弥&島本高雄・原作 ワニブックスGum comics)


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