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2009.09.13

「幻想綺帖」第1巻 贅沢な幻想譚・怪奇譚集

 波津彬子先生の新刊「幻想綺帖」が発売されました。波津彬子先生が、日本・中国・欧米の幻想譚・怪奇譚を漫画化するという実に贅沢な企画の一冊であります。

 収録されているのは、「ネムキ」誌と「幽」誌に掲載された以下の作品。

「山月記」(中島敦)
「嵐の夜に」(L.M.モンゴメリ「スモーキー島のハウス・パーティー」)
「藤森のおぢい」(「耳袋」より)
「雪訪い」(泉鏡花原作「第二蒟蒻本」)
「中国奇談」(「酉陽雑俎」「聊斎志異」より)
「夜半の膳」 (芥川龍之介「椒図志異」)
「開いた窓」(サキ)
「幽霊、恩を謝する事」(「耳袋」より)
「化鳥」(泉鏡花)

 ご覧の通り、和洋中取り混ぜて実に豪華なラインナップ。文豪の作品あり、実話奇譚あり、古典あり…怪談・奇談を愛する方であれば、思わず舌なめずりしたくなってしまうようなチョイスであります。

 原作が良ければ漫画も良い…と言えない場合もありますが、本書においては心配無用。波津先生一流の美麗な筆で描かれる作品の数々は――鏡花の作品など、かなり漫画化は大変だったのではないかと思いますが――原作読者でも納得できるのではないかと思います。

 しかも大いに驚かされるのは、どの作品も違和感なく原作の持ち味を活かしつつ、それでいて波津作品として自家薬籠中のものとしていることであります。
 作者の出身地も、舞台となる時代・場所も、バラエティに富んだ作品群でありながら、何故どの作品も、波津先生の絵柄が、描写がこれほどしっくりくるのか――

 波津先生のこれまでの作品が、古今東西様々な舞台で描かれてきたことを考えれば、これはある意味不思議ではないのかも知れませんが、しかしこうして一冊に集められて見ると、その凄さ素晴らしさが、今更ながらに感じられます。


 この第一巻は短編集でしたが、近日刊行の第二巻は、岡本綺堂の「玉藻の前」が収録されるとのこと――あの恐ろしくも切ない物語を波津先生がどのように漫画化してみせるのか、こちらも今から胸躍ります。

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