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2009.09.10

「水滸伝」 第15回「二人の魯達」

 梁山泊で疫病が流行し、王倫の祟りとの噂が出る。魯達は、町で出会った僧・如海に法要を行わせるが、如海が魯達の母の命が危ないと言い出し、二人は故郷の光州に向かう。が、実は如海は高求と結んだ光州の大庄屋・関史文の回し者だった。光州で魯達は自分の偽者と出会いその家に行くが、そこには魯達の母が人質にされていた。駆けつけた林中らの助けで偽者を討ち、その場を逃げ延びた魯達と母だが、母は病で息を引き取ってしまうのだった。魯達は悲しみを堪えて旅立ち、林中は諸国を巡る旅に出る。

 祝家荘編が一段落して、今回は魯達を主人公とした単発回。原典の李逵(鉄牛)の里帰りエピソードをベースに、幾つかの要素を付け加えて高求対梁山泊のストーリーにアレンジしています(原典通り鉄牛を主役にしなかったのは、以前の回で鉄牛の母が柴進の屋敷で暮らしていると描いてしまったからでしょうか)。

 このドラマ版では、ある意味原典以上に稚気溢れる暴れん坊として描かれている感のある魯達ですが、今回もそれは健在。酒を飲んで暴れたり、自分の噂話に喜んだり(光州の居酒屋で、森の石松の「寿司食いねえ」の水滸伝版をやってくれるのが愉快)、偽者の言葉にころっと騙されたり…冷静に見ると失敗ばかりなのですが、それでも何となく許せてしまうのは、演じる長門勇のとぼけたキャラクターによるところが大きいでしょう。

 しかしそれが一転、悲劇になってしまうのが終盤の展開。偽魯達に人質にされて刃を突きつけられても、魯達を逃すためあえて彼が本物の魯達でないと言い張る母と、その真意がわからずオロオロとするばかりの魯達の姿が、何とも切ないのです。
 偽者の登場や母親の死は、上で述べた原典の鉄牛の里帰りにもあったイベントですが、そちらがかなり殺伐としたものであったのに比べ(横光版では母親の死に悲しむ鉄牛の姿が非常に印象的だったのですが)、なかなか良いアレンジだな、と感じます。

 そして今回の裏の主役が、政商・関史文(カク史文のもじりかしら?)の回し者として暗躍し、魯達を罠にはめた如海でしょう。原典で楊雄の妻と密通した裴如海のアレンジだと思いますが(属する寺の名前も同じ報恩寺)、親切ごかして魯達を窮地に陥れたり、密かに梁山泊の絵図面を作ったりと、原典とはまた別の意味でのイヤらしい振る舞いが印象に残りました。
 演じるは小林昭二ですが、前二回の黒部進といい、ちょっと複雑…
(ちなみに偽魯達の妻は金連という名前でしたが、これは潘金蓮というより原典で魯達に助けられた歌唄いの娘の金翠蓮から取ったような気がします)(訂正)

 さて、一件落着したと思ったら、突然ラストで、陽のあたらぬ所に光をあてるため、と称して林中は花栄と共に大宋国を巡る旅に出ることに。
 かなりいきなりな気もしますが、林中が梁山泊にずっといると話に膨らみを持たせにくいから…ということかもしれません。


 ちなみに今回、梁山泊で新たに病にかかった者のトウ飛の名が(字も同じ)。名前だけの登場でしたが、いつの間にか仲間入りしていたんですねえ…他にもこういう連中いそうですね。

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コメント

楊雄の妻は潘巧雲ですよ

投稿: 茂助 | 2012.09.18 21:16

茂助様:
そうでした! どうもすみません。ご指摘ありがとうございます。
金翠蓮は、魯達に助けられた歌唄いですね。こちらの方が魯達とも関係がありますし適切ですね。

投稿: 三田主水 | 2012.10.08 21:26

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