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2009.09.14

「鳥にしあらねば 地獄の花嫁がやってきた」 ライバル(?)登場 だけど…

 今日も今日とて暁信を地獄に連れて行こうと画策する夜魅姫。斎院の多佳子に招かれて花見をしていた暁信の元に押し掛ける夜魅姫だが、その彼女を迦楼羅王なる翼を持つ美青年が攫っていってしまう。夜魅姫を取り返すべく、迦楼羅王の居城を目指す暁信たちを待つものは?

 順調に刊行されている「地獄の花嫁がやってきた」シリーズの三巻目は、山上憶良「世間を憂しとやさしと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば」の歌からサブタイトルを取った「鳥にしあらねば」。
 と言っても、世の中のままならぬことへの嘆きを詠んだ元の歌とは異なり、自在に空を舞う翼を持った迦楼羅王を相手にすることになった、(たぶん)フツーの人間の貧乏貴族である暁信の嘆きが籠もったタイトルであります。

 いつもは暁信に攻勢の一方の夜魅姫(ヤミー)ですが、今回はそのヤミーに積極攻勢をかけるライバル(?)が迦楼羅王、という展開。
 もっとも、このシリーズに登場するだけあって、迦楼羅王もまあ一種の変態。自分大好きのナルシーであると同時に、女性は誰でも美人に見えるという究極のフェミニストという難儀な人物であります。

 そんな男にヤミーをさらわれて、しかし、厄介払いが出来たなどと喜ばないのが暁信の人の良いところであり、また好もしいところ。
 (頭の中身はともかく)幼い子供であるヤミーを力づくでさらっていった迦楼羅王に対し、及ばずながら真っ向から立ち向かおうというその意気やよしで、そりゃあ多佳子姫も微デレを見せるわけです。

 しかし本作で最大のツンデレっぷりを見せるのは、今までヤミーに横恋慕しては執拗に暁信を狙っていた地獄のマッスル番長・夜叉王。テンプレ通りの台詞と共に仲間になって、斜め上の方向で大暴れしてくれたのには、大いに頭と腹を抱えさせていただきました。

 そのほかにも、魔法の呪文「帝倶摩句摩耶坤」だの大小のネタを織り交ぜて、今回も実に馬鹿馬鹿しくも気持ちの良いドタバタコメディぶりで、最後の最後まで肩の力を抜いて楽しむことができました。

 楽しい以外、特に何が残るわけではないのですが、しかしエンターテイメントにとって他に何が必要でしょうか。
 この楽しさを私は支持するところであります。

「鳥にしあらねば 地獄の花嫁がやってきた」(瀬川貴次 集英社コバルト文庫) Amazon
鳥にしあらねば―地獄の花嫁がやってきた (コバルト文庫)


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