映画「カムイ外伝」 無難な忍者アクションの良し悪し
映画「カムイ外伝」を見て参りました。言わずと知れた白土三平先生の漫画を、松山ケンイチ主演で映像化した本作、周囲の評判は芳しいものでなかったため、ある種の覚悟をして行きましたが、しかし、個人的な印象は「無難」の一言に感じました。
本作の原作は「カムイ外伝」第二部のほぼ冒頭のエピソード、「スガルの島」。
カムイと、天才的な能力を持つ抜け忍スガルや彼女の家族をはじめとする人々との出会いと別れを、追忍との死闘や厳しい大自然の姿を織り交ぜながら描いたエピソードであります。
漫画版で全七話、それより先行して製作されたアニメ版で全六話と、決して短い物語ではない原作を、この映画版は手際よくまとめ、ほぼ原作に沿った内容に仕上げています。
出演者も芸達者揃いのためか、キャラクターのイメージを大きく崩すこともなかったかと思います(個人的には、伊藤英明の不動が、原作よりも若いものの、かなりイメージ通りで驚きました)。
もちろん(?)ツッコミ始めればきりがないわけで、例えばワイヤーアクションとCGの使い方の拙さは――これはある意味邦画の宿痾であって――予想していたとはいえどうにかならなかったものか、という印象。
ワイヤーがかえってアクションのスピード感を殺したり、CGで描かれた風景が現実から浮き上がって見えるのであれば何の意味があるでしょう。
個人的には、原作というと鮫の印象が大変強いだけに、その鮫がCGバリバリだったのが何とも…(あと、CG使うのであればラストの○○の腕消そうよ)
尤も、これだけは言っておかなければならないのは、生身のアクションシーン自体はなかなかのもので、特にラスト、カムイが複数の追忍を向こうに回して文字通り体当たりの死闘を繰り広げる様は、決して綺麗な動きでないのが逆に忍びの戦いとして印象的でした。
(も一つ、これは凄すぎてCGの疑いすらあるのですが、少年時代のカムイの大立ち回りの際の動きが、尋常でなく滑らかで吃驚)
そんな長短を総合してみると、減点法で考えれば格別、加点法で――私は基本的にこの立場なのですが――見ると、世評で言われるほどひどくないようには感じます。
惨憺たる作品が少なくない漫画原作邦画の中では、無難な仕上がりの作品、と言うべきではないでしょうか。
しかし――その無難というのも良し悪し。この無難さが、本作の場合には、私は残念に感じられます。
一言で言えば、崔監督らしさが本作から伝わってこないのです。
この「カムイ外伝」の監督が崔洋一であると知った時に感じたある種の期待感、監督がカムイを通じて描くのではないかと予感したものが、本作からは、感じられませんでした。
あるいはその期待通りに作られた場合、無難さとは無縁の、今以上に非難囂々の作品となったかもしれませんが――さて。
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