« 「風狂活法杖」 虚無の向こうの風狂 | トップページ | 「変身忍者嵐」第03話 「呪いの妖気! オニビマムシ!!」 »

2009.09.25

「豪談 左甚五郎」 これぞ大工の戦い方!?

 その腕を買われて江戸城の大改修に加わった京の大工・甚五郎。そこで、秘密の部屋の担当となった甚五郎は、口封じに殺されるところを、偶然知り合った作事奉行の娘・志保に救われる。志保を連れて逃避行を続ける甚五郎の前に立ち塞がる、柳生連也斎率いる暗殺団。二刀流の浪人・タケゾウに救われた甚五郎たちだが、悲劇は間近に迫っていた…

 十年ほど前に書き下ろし刊行された、永井豪とダイナミックプロによる「豪談」シリーズの一編、左甚五郎の巻であります。
 左甚五郎と言えば、いうまでもなく伝説の名工。あまりにも伝説すぎて、その作品のみならず本人までもがファンタジーの住人のようになってしまった感のある人物で、時代ものの世界では、根来忍者の頭領だったり半分異界の者になっていたりしますが、本作の甚五郎も、これまでに書かれた作品に負けず劣らずのとんでもないキャラクターであります。

 本作の甚五郎は、少年時代に親を無礼討ちで殺され、侍嫌いとなった大工。そのため侍の権威に媚びず、ただ自分の腕をのみ頼むという、ある意味職人気質の権化のような人物。
 それが、江戸城の大改修で政敵暗殺のための落とし穴部屋(床全体が一瞬で引っ込んで落とし穴になるという…この時点で既に何かおかしいのですが)を作りあげ、口封じのために殺されかけながらも、愛する志保と共に必死の逃避行を続ける…というのが物語中盤過ぎまでのあらすじですが…

 旅の途中で、柳生嫌いの二刀遣い・タケゾウ(もちろん正体はあの人)に救われ、三人で旅を続けながらも、柳生一門の卑劣な罠の前に志保を、そして自分の片腕を喪い、絶望の淵に沈んだ甚五郎。その彼が、タケゾウの叱咤激励の下に辿り着いた、大工ならではの戦い方とは――仕掛けだらけの怪建築に敵を誘い込んで皆殺しにすることだった!(本当)

 というわけで、クライマックスは、九州の山中に築かれた甚五郎の砦を舞台にしての、柳生一門との攻防戦…というより殲滅戦。全体これカラクリという怪建築は、ちょっと国枝史郎チックですが、カラクリ仕掛けのロボット竜で暴れながら「大工の戦い方はこれや!」と叫ぶ甚五郎の姿には、嗚呼ダイナミック…と感じさせられます。


 さらにラストには既に大工の域を超越したようなピグマリオンぶりを発揮して何処かへ去っていく甚五郎――元々が半ば伝説中の人物であるのを逆手にとって、豪快に風呂敷を広げた豪先生の発想には脱帽です。


 ちなみに本作の柳生連也斎はもの凄くぞんざいな面の悪人で、本当に主人公の敵、という存在でしかないのですが、作中では明示されないものの、最後の最後にあの謎の遺言に繋がる展開があり、ちょっと目を引くところです。

「豪談 左甚五郎」(永井豪とダイナミックプロ 中央公論社) Amazon
豪談左甚五郎 (永井豪のサムライワールド (9))

|

« 「風狂活法杖」 虚無の向こうの風狂 | トップページ | 「変身忍者嵐」第03話 「呪いの妖気! オニビマムシ!!」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/46305065

この記事へのトラックバック一覧です: 「豪談 左甚五郎」 これぞ大工の戦い方!?:

« 「風狂活法杖」 虚無の向こうの風狂 | トップページ | 「変身忍者嵐」第03話 「呪いの妖気! オニビマムシ!!」 »