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2009.10.06

「変身忍者嵐」 第06話「怪奇! 死人ふくろう!!」

 化身忍者・死人ふくろうは、川に毒液を流して下流の村の人々を病気にしてしまう。被害が広がる前に食い止めようとするハヤテの前に、かつての親友・山彦小太郎が現れた。ハヤテを助けるために抜け忍となったという小太郎と共に、血車党の拠点を襲うハヤテだが、その間にタツマキたちが捕らわれてしまう。実はハヤテを憎んでいた小太郎が、死人ふくろうの正体だったのだ。死人ふくろうの超音波に苦しめられる嵐だが、刀で跳ね返して逆転勝利。村人たちも山に生える薬草で回復するのだった。

 「変身忍者嵐」紹介、諸般の事情により今回はちょっと飛んで第06話。化身忍者の改造シーンと、ハヤテの幼馴染みが登場するという意味で、なかなか興味深いエピソードです。

 冒頭から繰り広げられるのは、化身忍者・死人ふくろうの誕生に至るまでの過程。作中の描写によれば、死後一日目の人間の目と心臓、死後二日の腕とはらわた、死後三日の骨と皮膚を、術で墓場から復活させた死体から移植した末に、梟の魂を乗り移らせるというもので、死体を用いるのは「死人」ふくろう故かとは思いますが、外科手術とアニミズム的なものが入り交じっているのが面白く、ショッカーの改造人間製造とはまた異なる怪奇性を濃厚に感じさせます(しかしおそらくはアレンジされているとはいえ、こんな術を編み出したハヤテの父はやはり何を考えていたのか…)

 その死人ふくろうの任務は、「死人血液」で疫病を流行らすというものですが、名称的に死人ふくろうの血液のことかと思ったら(いやたぶんその意味もあると思いますが)、「死人血液」とはナレーションによれば毒液を注射する注射器のことで、なかなか謎のネーミング感覚であります。

 それはさておき、もう一つ注目すべきは山彦小太郎の登場。ハヤテの親友で互角の腕を持つという設定で、さらに実は…というどんでん返しもある実においしいキャラであります。
 ストーリーの上でもにも、死人ふくろうの変身(前)(=敵)なのか、たまたま同じ回に登場した協力者(=味方)なのか、一目ではわからないようになっているのが面白いところです。

 もちろん、主人公の知人が敵の怪人に! というのは、変身ヒーローものの定番パターンではありますが、正体を明かした際に小次郎が口走る、腕は互角でも身分が上のハヤテを実は憎んでいた、という裏切りの理由が、なかなかに忍者もの的で生々しくてよいと思います(その後に「化身忍者になると心まで悪魔になり、魔神斎の思いのままになるのだ」とナレーションが入りますが、まあ動機は本人が言うとおりなのでしょう)。

 とはいえ、その小太郎の裏切りが物語上効果的に働いていたかというと今ひとつというところで、もっと豪快に裏切ってくれた方が、ラストの隼vs梟という、鳥の能力を持った超忍者同士の決闘も盛り上がったのではないかなあと思うところです。
(ちなみにラストの渓谷での決闘では、レーダーが金属に妨害されるように(ナレーター談)超音波がハヤテの刀に跳ね返されたという、うーんな展開なのですが、谷間だったため「山彦」のように超音波が倍加されて跳ね返される、というのは皮肉が効いていてよいかと思います)

 お話的にも(毎度のことながら)血車党の杜撰な作戦遂行――犠牲者を適当に放っておいたらハヤテに見つかる――が目立つのですが、首領の魔神斎からして、自分たちを目撃した(ツムジを上回る棒読みの)小坊主を殺し損ねてハヤテに拾われるくらいだからなあ…しかもこの小坊主が何故か普段食べていた(やな小坊主だな)薬草が疫病の特効薬だったという体たらく。


 ――そしてラスト、小太郎は墓を立ててもらってはいるのですが、ハヤテはあまり悲しそうにしていない辺り、もしかしてハヤテあんまり小太郎のこと意識してなかったんじゃ…と思ってしまったり(仇は必ず取ってやる、と誓う骸骨丸の方がむしろいい人っぽい)。


<今回の化身忍者>
死人ふくろう

 ハヤテの幼馴染み・山彦小太郎が死人の血肉と梟の魂を移植されて誕生した、梟の能力を持つ化身忍者。羽根型の注射器・死人血液で毒液を注入し、疫病を蔓延させる作戦を遂行する。
 二刀を操り、周囲を闇に変える「闇夜呼び」、強力な超音波を発する「呪い笛」といった忍法で嵐を苦しめたが、呪い笛を嵐の刀に跳ね返されて倒された。
 片目が白目を剥いているのが死人っぽくて気持ち悪い。

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コメント

ハヤテの幼馴染みを改造した化身忍者、改造方法がオカルトっぽいですが、この時点で既に、大魔王サタンの魔法が絡んでいた様に思えます。後付け設定とは言え、サタンは血車党のフィクサーでしたしね。

脚本が良ければ、奴はライオン丸におけるタイガージョーになったかもしれませんね。もっとも、嵐が迦楼羅(ガルーダ)ならライバルはヤタガラスのイメージで。
フクロウモチーフの怪人の方はネズガンダ的なキャラが相応しそう。

投稿: 特撮コメンテーター | 2010.04.10 10:56

血車党の設定は後から考えると色々悩ましいですね…

確かにライバルモチーフで今後登場しても面白かったかもしれませんが、動機が完璧に怨恨だったので、あの当時では色々難しかったかもしれませんね

投稿: 三田主水 | 2010.04.11 23:07

はじめまして。「そせい・らんぞう」と申します。
Youtube で久しぶりにこの話を見て、
http://www.youtube.com/watch?v=q_MqzdrSgCY&feature=related
検索してこちらにたどり着きました。

この話は、兄弟作品ともいえる「仮面ライダー」のさそり男の回と共通したプロットで、ともに脚本を担当されている伊上さんのお得意のパターンの一つといえますが、逆に「嵐」のオリジナリティがよくわかる回といえるかもしれません。

改めてみて印象的なのは小次郎の妹(もちろんハヤテとも顔見知り)、つまりはごく普通の娘が、骸骨丸と普通に会話しているシーンで、骸骨丸や魔神斎すらもふくめて血車党の面々はハヤテ=嵐にとっては「知人」であること(「抜け忍」としての彼の立場)にあらためて気づかされます。

小次郎が化身忍者になった事情はブログ主さんがおっしゃっている通りだと思います。さそり男の早瀬五郎の動機が「能力において一歩及ばない」と「近代社会」的なのに対して「腕は互角だが身分ちがい」というのが時代劇らしいともいえます。
深読みすれば、小次郎は私怨もさることながら忍の掟に忠実だっただけ、とも取れますが。

今回改めててみて、主人公側の牧冬吉さんだけでなく、画面の曽根晴美さんの存在が、「嵐」を「時代劇」として締まった画面にするのにかなり大きいなという気がして、ちょっとした発見でした。曽根さんのキャリアを考えれば当然かもしれませんが。

乱筆長文失礼しました。

投稿: 楚星蘭三 | 2010.07.18 00:19

誤字訂正
×画面の曽根晴美さん
○敵側の曽根晴美さん

同じ時代劇+特撮ヒーロー作品でいえば、「ライオン丸」シリーズで同じ展開があれば、ラストシーンはもう少し友人の氏に思いをはせる余韻のあるものになったかもしれません。この辺が両作品の(少なくともテレビ版の)作風の違いでしょうか。

投稿: 楚星蘭三 | 2010.07.18 00:46

お返事が大変遅くなって申し訳ありません。

楚星蘭三様:
はじめまして。大変興味深いコメントをありがとうございます。

確かに、本編ではあまりそう感じさせる要素はありませんでしたが、ハヤテにとって化身忍者たちはかつての同胞ですね。
この点、境遇は同じでも基本的に他人の仮面ライダーとショッカー怪人とは大きく異なりますね。

この辺り踏み込むと、色々と面白くなったかもしれません…が、よく考えたらそれは石ノ森先生の萬画版と重なってしまうので、それはそれで仕方なかったのかな?

確かに、ピープロであれば絶対やってきた展開だと思いますね。

投稿: 三田主水 | 2010.08.09 00:19

三田主水様:
こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。

考えてみれば、「嵐」と「ライオン丸」は、コミック版(石ノ森・一峰大二)とTV版(東映・ピープロ)の間で、「明朗快活なアクション」と「陰影の濃い時代劇」の描き分けが逆というか交差したような関係にも見えます。

あまり「たられば」を考えても何だと思いますが、あえて「嵐」にピープロ的な展開を想像すると、この回の数回後に登場する毒蛾くの一は、小次郎の妹が化身改造を受けた姿で、「ハヤテ様にお怨みはありませんが、これも忍びの掟、お許しください」…
といった展開になるのでしょうか。

投稿: 楚星蘭三 | 2010.08.15 17:26

楚星蘭三様:
なるほど、コミック版とTV版の関係は全くその通りですね。

嵐のTV版は、大魔王サタン編でその辺りのシビアな展開を狙ったようにも感じられるのですが、それが徹底できてないあたりがまた本作らしいというか…

とはいえ、ハヤテは家庭的には結構不幸なので、あまり虐められなくてよかったかな、とも思います(笑)

投稿: 三田主水 | 2010.08.16 00:16

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