« 「陰の剣譜 青葉城秘聞」 激突する二つの陰 | トップページ | 「無限の住人」第25巻 裏返しの万次と凛 »

2009.10.01

「水滸伝」 第17回「林中、宿敵に挑む」

 一人開封に入った林中は、宮中顧問となった叔父・柴皇城についてきた柴進と出会う。柴皇城の存在を危険視した高求は、柴進が自分の部下となるか、皇帝に見初められた娘の麗華を自分の部下・高廉の妻とするよう迫る。林中により逃がされた麗華だが、柴皇城は高求に殺され、柴進も捕らえられる。高求の屋敷に殴り込んだ林中だが、高廉の妖術に阻まれて高求を取り逃がし、やむなく柴進と共に都から脱出するのだった。

 まだ続く林中一人旅、今回は原作の柴進受難をベースとした内容ですが、タイトル通り、それと並行して描かれるのは林中と宿敵・高求の対峙。これがなかなかに力の入った脚本と演出で、かなり盛り上がるエピソードとなっています。

 扈三娘はおろか、晁蓋や宋江の言葉も振り切り、一人旅を続ける林中の真意…それは、単身高求を斬ることにありました。
 梁山泊の存在が権力のカウンターとして確立した今、自分は自分の復讐のために戦いたい…そう考える林中の心中を、扈三娘は理解できず、史進は何となく理解するという件が、なかなかいい感じです。

 さて、そんな林中の想いと共に、今回のエピソードの核となるのが実に久々の登場となった柴進の受難です。
 高廉と殷天錫により、叔父の柴皇城が痛めつけられ、自分も捕らわれてしまうという展開自体は原典と同じですが、原典が柴皇城の屋敷に目を付けた殷天錫の横暴に端を発したものであったのに対し、こちらは宮中の権力争いにスケールアップ。
 自分をさしおいて皇帝に信任され、さらに娘が入内するかもしれない柴皇城に対し、なりふり構わず言いがかりをつけ、追いつめる高求の悪辣さが、際だっています。

 ちなみに高廉と殷天錫は、本作ではなんと異民族・匈奴出身という設定。原典では単なるボンクラだった殷天錫も、鉤縄を用いた武術で林中を苦しめるくらいパワーアップしておりました。
 この辺り、才あるものであればかつての敵でも受け入れる(ただし林中以外)という高求の奇妙な人材感覚があって面白いのですが、一方で前回語られた、高求が自分だけの手駒を必要としているという設定と平仄があっているのも感心しました。

 さて、そのようなドラマが積み重ねられて、クライマックスの林中・史進の高求邸乱入に繋がるわけですが、このシーンのアクションも気合いが入っていて見応え十分。多勢に対して臆せず斬り込む二人の躍動感溢れる動きが何とも気持ちよいのです。

 敵を倒したときに飛ぶ血しぶきがプチ椿三十郎チックなのにも驚かされますが、倒された殷天錫の血がカメラのレンズにまで飛んでくるのにはひっくり返りました。


 と、テンションが高いアクションの果てに、ついに林中の刃が高求に…というところで、原典読者的にはいつ出るか出るかと思っていた、高廉の奥の手が炸裂するのがまたうまい!
 無念を飲んで都を脱出した林中たちと高廉の対決は、次回に続きます。


 なお、今回から冬服ということなのか、林中・扈三娘・史進がコスチュームチェンジ。
 ロシア帽の扈三娘も可愛いですが、帽子も服も明らかにモダンなデザインになった林中がかなり格好良いのでした。

「水滸伝」DVD-BOX(VAP DVDソフト) Amazon
水滸伝 DVD-BOX


関連記事
 「水滸伝」放映リストほか

|

« 「陰の剣譜 青葉城秘聞」 激突する二つの陰 | トップページ | 「無限の住人」第25巻 裏返しの万次と凛 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/46358330

この記事へのトラックバック一覧です: 「水滸伝」 第17回「林中、宿敵に挑む」:

« 「陰の剣譜 青葉城秘聞」 激突する二つの陰 | トップページ | 「無限の住人」第25巻 裏返しの万次と凛 »