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2009.10.31

「水滸伝」 第20回「親子砲の最後」

 梁山泊に手を焼く高求は、火薬作りの秘法を修めた轟天雷を招く。官吏を目指す息子・思文と共に上京する轟天雷は、途中盗賊に襲われて阮小三兄弟に救われ、梁山泊に逗留する。轟天雷の上京の目的を知り、一度は彼の下山を拒んだ林中だが、轟天雷を信じ、故郷に帰ることを条件に下山を許可する。しかし林中らの人となりを知った轟天雷は梁山泊に爆裂弾の製法を伝えることを決意。さらに大砲をも造り出した一同は、官軍に対してこれを用い、大勝利する。しかしその大きすぎる威力を憂いた林中は大砲を破壊、轟天雷親子も故郷に帰るのだった。

 今回も本筋からは離れた単発エピソード。中心となるキャラクターは、原典で呼延灼将軍の下、火砲で梁山泊を大いに苦しめた轟天雷という、何とも渋いチョイスであります。
 尤も、前回登場した呼延灼のキャラクターが大きくアレンジされているのと同様、轟天雷もまた大きくアレンジされて登場。本作では、遠くヨーロッパまで放浪した末に火薬作りの秘法を収めた老学者といったところで、その息子でオリジナルキャラクターの轟思文との親子愛が、物語の中心となっています。
(ちなみにこの轟天雷、どの「水滸伝」でも火薬or砲術マニアという設定ながら、作品によって醜男だったり美青年だったり老人だったりと、皆描写が異なるのがなかなか愉快です)

 父は、官吏を目指す息子の立身のために心を砕き、子は、老いて病んだ父の体をいたわり――そんな親子が、梁山泊と高求の争いに巻き込まれて…というのは、実は前回の呼延灼親子と同様の構造で、二回続けてというのはちょっとまずいような気もしますが、しかし軍人親子と技術者親子の違いもあってか、物語から受けるイメージ、そして結末は全く異なるものとなっています。

 また密かに嬉しいのは、最近は林中・扈三娘+α程度の登場だった梁山泊の豪傑たちが、今回はかなりの人数登場すること。
 特に前回何故か小五のみ登場した阮小三兄弟(相変わらず「小」が入るのが何とも)は、今回三人揃って登場、相変わらずの何とも呑気でオッチョコチョイなキャラクターが、物語の印象をずいぶんと柔らかなものにしてくれます。
 さらに張順も、いつの間にか梁山泊の狼煙係として火薬の知識を持つという設定で久々登場。火薬使いとして、轟天雷の技術に並々ならぬ関心を寄せるシーンなどは、意外な一面として印象に残ります。

 さて、そんな一同がクライマックスに力を合わせて造り出した大砲は、メインの砲身の周りに小さな砲身を取り付けることで補強したその名も「親子砲」。おそらくは原典にも登場した子母砲を念頭に置いたものかとは思いますが、父と子の絆を描いた今回に相応しいネーミングと言えるでしょう。

 もっともこの親子筒、あまりの威力に戦争の激化を懸念した林中たちにより、初陣の一回のみで破壊されてしまうのですが…
 言っていることは全く正しいのですが、それまで山を下りるなと言ったり下りてもよろしいと言ったり、轟天雷親子が林中(というより梁山泊と高求の争い)に振り回されたと言えなくもない部分もあるため、ちょっと可哀想だったかな…という気がしないでもありません。結局轟天雷も思文も梁山泊入りできなかったわけですしね。

 もちろん、梁山泊に入るばかりが生きる道ではない、というのはその通りで――林中もあくまでも梁山泊は政の腐敗を正すまでの一過性の拠点と考えていますし――そう考えれば今回の結末もアリ、なのでしょう。


 ちなみに今回、悪人を懲らしめに出撃する梁山泊の面々、全員徒歩だったのが猛烈に印象に残ります…火薬使いすぎて色々アレだったのかしら。

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