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2009.10.20

「AKABOSHI 異聞水滸伝」第1巻 実はしたたかな計算あり?

 今年は、別の出版社の別の雑誌で、ほぼ同時に「水滸伝」漫画が二作開始されるという面白い偶然がありました。そのうちの一作品、「週刊少年ジャンプ」誌で連載されている「AKABOSHI 異聞水滸伝」の単行本第一巻が先日発売されました。

 腐敗しきった大宋国をひっくり返すために活動する義賊「替天行道」の一員・流星の戴宗を主人公にして描かれる本作。
 戴宗といえば、原典では神行大保の渾名を持ち、一日に数百里を走る特殊能力を生かして活躍したキャラクターですが、本作はそれを大胆にアレンジし、いかにも今時の少年漫画らしい傲岸不遜な俺様主人公として描いています。

 この辺りは、やはり好き嫌いが――特に原作の熱心なファンからは――出るかとは思いますが、単行本でまとめて読んでみると、キャラクター配置や物語展開は、なかなか良くできていると今更ながらに気づきます。

 本書に収録されているのは、大まかに言えば戴宗の登場篇と、王進・林冲篇(の前半)の二つ。
 前者では、傍若無人な戴宗に弱者のための正義を否定させることで、単純な正義の味方でも、もちろん単なる悪党でもない豪傑たちの物語という「水滸伝」の本質を描き出しているのが注目すべきところでしょう。
 一方の王進と林冲のエピソードでは、まさに「義」の人と言うべき王進のキャラクター像を、林冲との結びつきで浮かび上がらせる手法が、なかなか読ませてくれます。

 一見無茶苦茶をやりつつも、しかし原典の要素をうまく掘り起こして作中に散りばめてくる辺り、なかなかどうして作者はしたたかに計算して描いているのでは、というのは贔屓の引き倒しかもしれませんが――


 掲載誌での人気は芳しくないようで、連載の方はいつ終了しても不思議ではないのが本当に心配ではあるのですが、何とか少しでも長く続いて欲しいと、「水滸伝」の大ファンとして願っている次第です。

「AKABOSHI 異聞水滸伝」第1巻(天野洋一 集英社ジャンプコミックス) Amazon


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