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2009.11.20

「平安ぱいれーつ 宮城訪問」 いい意味で裏切ってくれる伝奇コメディ

 小頭四天王が嘆く中、元服した山吹丸。しかしその翌日、彼の主・藤原純友がが原因不明の昏睡状態となってしまう。その原因に心当たりがあるらしい四天王の一人・青鷺の故郷に向かうことになった山吹丸たちだが、なんとその故郷は海の底だった!?

 藤原純友に仕える男童・山吹丸を主人公に、純友や彼を取り巻く海賊四天王が繰り広げる大騒動を描く「平安ぱいれーつ」の第二巻が刊行されました。

 言うまでもなく純友は、伊予掾でありながら海賊の首領となり、東国の平将門と並んで世を騒がしたという人物。
 「平安ぱいれーつ」のタイトルも、それに由来するものですが、しかしそのタイトルや史実から予想される内容をいい意味で裏切ってくれる伝奇コメディ(?)となっているのが本作の楽しいところです。

 本書には中編二編とおまけ短編一編が収録されていますが、一つ目の中編が本書の表題作「宮城訪問」。
 宮城(きゅうじょう)といえば帝がおわす場所ですが、本作に登場するのは帝は帝でも海の王の城。竜の宮城であります。
 突然人事不省に陥った純友を救うため、宮城に向かった山吹丸一行。なんと四天王の一人・青鷺はこの宮城の出身、それどころか両親は日本人なら誰でも知ってる超有名人で…と、意表をついたアイディアと、宮城の人々(?)のキャラクターが楽しい一編です。

 また、もう一編の「帰京騒動」は、突然純友が伊予掾を免ぜられた理由を探りに、山吹丸が京に向かうエピソード。
 父を甦らせ、将門を調伏したという高僧・浄蔵や、あの晴明が登場したり、四天王の一人・白露の正体が判明したりと、こちらも盛りだくさんの内容であります。

 さて、本作最大の特徴は、山吹丸が四天王をはじめとする面々に、過剰に好かれまくること。
 実は山吹丸は、半妖に異常に好かれてしまうという特異体質で、それゆえに四天王をはじめとする半妖の方々にモテモテなのですが、登場する半妖が全て男性というのが…

 この辺り、あざといというかうまいというか、煩悩のままに書きつつも、色々な意味で一線を越えない――そしてもちろん、本筋の部分は誰が読んでも面白く、しっかり描いている辺り、実に作者らしいと思います。


 さて、ついに伊予掾を免ぜられ、専業海賊(?)となってしまった純友。いよいよ史実通りの展開となってきましたが、もちろんタダで済むとは思えません。 おそらくは次の巻では、将門の乱が絡んでくるのでしょうが…山吹丸がまた好かれることは断言できます。


 ちなみに「宮城訪問」の冒頭で、山吹丸は元服して一つ上の男になるのですが、ラストである事情から子供に戻った上に成長はストップしてしまうことに。なんという合法ショタ…

「平安ぱいれーつ 宮城訪問」(如月天音 新書館ウィングス文庫) Amazon
平安ぱいれーつ?宮城訪問?  (新書館ウィングス文庫 145)


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