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2009.12.14

「水滸伝」 第25回「山東に立つ最後の猛将」

 高求に召還され都に向かう西域守護指令・関勝。が、後事を任せた魏定国は匈奴の王・冒漸に討たれ、関勝も追い詰められてしまう。そこに割って入った林中は、助けたのが近衛軍官学校の同期だった関勝と知り驚く。林中の言葉を振り切り都に向かった関勝に対し、高求は関勝を騙って林中を都に誘き寄せたことを語り、林中を討てと命じる。しかしかつて想いを寄せた小蘭を死に追いやったのが高求であることを知り、さらに人質とされた単廷玉を斬られた関勝はついに官軍を見限る。関勝を迎え、ついに梁山泊に百八人の豪傑が集った――

 ついに最終回一話前を迎えた「水滸伝」。「山東に立つ最後の猛将」という実に格好良いサブタイトルが指すのは、今回のゲストキャラ、大刀関勝であります。

 林中とは共に学んだ仲であり、そして小蘭を争い、敗れて都を捨て、西域で十年戦ってきたという実においしい設定の関勝を演じるのは若林豪。
 相変わらずの(?)男臭さで活躍する若林関勝ですが、これがまた実に格好良い。

 一見、豪毅な軍人タイプでありながら(初登場シーンからして、肩を敵に射抜かれて単廷玉に自分を足で踏ませて矢を抜かせるハードコアっぷり)、部下を思いやり、そして敵の心中をも忖度する度量のある人物で、まさに最後の敵として、梁山泊の、林中の前に立つに相応しい人物であります。

 そんな彼の心の唯一の傷が、小蘭が林中の妻となったこと。小蘭は既に物語中で非業の死を遂げていますが、その原因である高求は、卑劣にも彼女を殺したのは梁山泊と謀り、関勝を焚きつけます。
 それにあっさりと乗せられてしまう関勝も関勝ではありますが、しかし、軍人の顔の下に隠れた人間臭さも若林関勝の魅力。

 そして、小蘭の死の真相を聞かされ、そしてただ一人残った部下・単廷玉を失い(まあ、これは深手を負って苦しんでいる単廷玉に関勝自身がとどめを刺したのですが。そしてこのシーンのテンションの高さがまた異常)…いわば己の人間的な側面を象徴するものを奪い取られた関勝の怒りが爆発するラストの迫力たるや――
 据わった目で「そこどけい! そこどけい!!」と連呼しながら当るを幸い叩き斬りまくる無双ぶりは、間違いなく今回のハイライトであります。

 実を言えばこの若林関勝、原典での関羽の子孫で先祖同様の美髭の持ち主という設定とは全く別物なのですが、しかしある意味…いやはっきりと原典以上にキャラが立っているのは、これはもう演じ手の勝利と言えるのではないでしょうか。

 そして今回関勝の忠実な部下として登場した魏定国と単廷玉(原典での単廷珪でしょう)。こちらも原典とは全く異なるキャラクターですが、一度は命を救われた敵を殺せず、それを自分の命で贖うこととなってしまった魏定国、己が人質となって関勝を縛るのを潔しとせず、関勝自身に止めを刺されて散っていく単廷玉と、どちらもなかなか印象的な描写でした。


 さて、最後の猛将・関勝をもって百八人勢揃いした梁山泊の豪傑。同じ回で魏定国と単廷玉が死んでいますし、これまでも仲間入りせずに去った人死んだ人、原典とは同名異人の悪役・脇役となっていた人、そもそも登場すらしていない人等々色々ありましたが、百八人揃ったとナレーターが言っているのだから仕方ない。

 ついに勢揃いした梁山泊と、完全に独裁者としての貌を露わにした高求(でも今回ラストで民衆に石をぶつけられながら這々の体で逃げる)…決戦の時が来た!


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コメント

いつも楽みにして拝見しています。
あと一話でいよいよ最後ですね。自分が書いた時とは違って、ハイペースでアップされているのは凄いな、といつも思っています。それにしても、やっぱり関勝の梁山泊入りで、108人すべてが揃った、というくだりは誰でも突っ込みたくはなりますよね。
最終回をどう締めくくられるか、楽しみにしていますね。

投稿: 黒猫亭 | 2009.12.15 16:51

こちらこそ、いつもありがとうございます。

本当は、全話ぶっ続けで感想をアップしたいくらいです(汗)

真面目な話をすれば、DVDの日本語字幕にはとても助けられました。

あと一回、どうぞ最後までお付き合い下さい。

投稿: 三田主水 | 2009.12.16 01:14

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