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2009.12.27

「軒猿」第3巻 三つ巴の戦いの中で

 長尾景虎(上杉謙信)配下の忍び衆・軒猿と、その軒猿に新たに加わった少年・旭の活躍を描く戦国アクション「軒猿」の第三巻が発売されました。
 この巻から描かれるのは景虎の関東侵攻。北条氏康を、そして武田信玄を向こうに回しての激戦の背後で、忍びたちの三つ巴の死闘が展開されます。

 北条氏の圧迫により越後に逃れてきた関東管領・上杉憲政を奉じて、関東に攻め込んだ景虎。その直接の相手は北条氏康が未だ隠然たる力を振るう北条氏ではありますが、その北条氏と結び、越後を窺うのは宿敵・武田――
 まさに関東三国志の戦乱において、それぞれの家に仕える忍びたちもまた、自軍を勝利に導くために、暗躍するのは当然のことであります。

 武田の三ツ者はこれまでも旭たち軒猿と死闘を繰り広げてきましたが、北条の忍びと言えば、そう、風魔。
 風魔小太郎に率いられる風魔一党は、これまでも幾多の作品に登場していますが、本作の風魔は、数を武器とする強敵として描かれています。

 そして、集団戦を得意とし、任務のために部下を、互いを踏み台とする風魔は、時に部下の失態を我が身を持って償う一千を頭領とする軒猿とはある意味対極にある存在。
 この辺りの対比は、苛烈な忍びの世界を描きつつも、その中に浮かび上がる人間性を拾い描いてきた本作らしい視点と感じます。

 そんな中で、軒猿として己の任務を果たすべく懸命に力を尽くす旭ですが――それがために今回も「痛い」目に遭ってしまうのを何と評すべきか。

 軒猿として少しずつ成長していく旭が、しかし心身を削っていく姿は、成長の代償というにはあまりに痛ましいものがあります。

 これからいよいよ激化していくであろう忍びたちの三つ巴の戦い。
 せめてそのまっすぐな人間性を失わないでいて欲しい…と忍びに対して思うのもおかしな話ですが、これは作者の術中にはまっているということでしょう。


 ちなみにこの巻で初登場する武田信玄は、おそらくこれまでのどの信玄像とも異なる、実に印象的なキャラクター造形。
 景虎もかなり異色の造形でしたが、この辺りも本作の油断できないところであります。
(風魔小太郎はちょっと外した感がありますが…)

「軒猿」第3巻(薮口黒子 集英社ヤングジャンプコミックス) Amazon


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