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2009.12.12

「九十九眠るしずめ 明治十七年編」第4巻 独りぼっちで見えたもの

 またずいぶんと間が空いてしまったような気がしますが、「九十九眠るしずめ 明治十七年編」の第四巻にして最終巻(あくまでも明治十七年編の、ですが)が刊行されました。

 新たな敵方の将として登場した土方歳三を向こうに回しての戦いはいよいよ激化、行方不明となったしずめの父を追って舞台は京に移ります。

 京に着いて早々知らされたのは、父が深手を負って消えたことと、味方であるはずの安倍家が敵方に付いたこと。
 さらに土方の攻撃により、しずめは一人仲間たちと引き離され、勝手の分からぬ京の地をさまようことに――

 これまで数奇な運命を辿りながらも、周囲の人々の力を借りて立ち向かってきたしずめ。
 その彼女が独りぼっちとなって、我と我が身を振り返った時、何が見えてくるのか…

 人外の力、強すぎる力を持った時、人はどのように歩むべきなのか――これまで他の高田作品でも描かれてきたテーマが、しずめとある意味鏡合わせの存在である安倍家の兄妹との対比も含めて、ここでも描かれることになります。
(この辺りは、前の巻の感想で触れた、史実上の人物に本作のキャラが食われるのではないかという心配への一つのアンサー…というのは牽強付会に過ぎましょうか)

 しかし、三歩進んで二歩下がるのが人生。自分の往くべき道を見つけたかに見えたしずめをクライマックスで襲うのは、また過酷な運命…
 土方も予測不能な動きを見せ始めて、ここで明治十七年編終了、というのは何と殺生な!

 と言いたくなるのは、これはもちろん作者の術中に陥ってしまったわけですが、そんな作品を読めるということは、もちろん幸せなことであります。

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九十九眠るしずめ 明治十七年編 4 (KCデラックス)


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