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2009.12.16

「風が如く」第5巻 本当の強さとは――

 いよいよ快調な五右衛門一派の大冒険、「風が如く」の第五巻は、仏の御石の鉢を巡っての死闘、鬼ヶ島編の完結編であります。

 仏の御石の鉢の邪気を浴びて元の姿…はおろか、完全に怪物と化した柴田勝家こと勝鬼をを向こうに回して戦うのはもちろん五右衛門。そしてその間に、奈落に落ちた仏の御石の鉢を求めて、ワープくんたち五右衛門一派が挑むという、実に少年漫画として正しい展開であります。

 もちろん、鬼に勝つ鬼・勝鬼を相手に、あくまでも人間の五右衛門が挑むのはあまりにも無茶な話。そこに、かつて鬼を平らげたという初代桃太郎の謎の能力の正体が描かれ、さらには五右衛門の封印していた奥の手が…という、バトルものとしても面白いこの鬼ヶ島編ですが、しかしその中で描かれるのは、単に敵を倒してバンザイ、という単純なものではありません。

 五右衛門と勝鬼の死闘、いや鬼ヶ島編全体を通じて描かれるのは、本当の強さとは何か、というテーマ。
 単に敵を力で傷つけ、倒し、従えること――それが果たして強さと呼べるのか? という問いかけの答えは、ヘタに描けば綺麗事の模範解答にも見えかねません。
 しかし、そこに「初代桃太郎は何故、鬼を滅ぼさなかったのか?」という本作ならではの物語展開と絡めて描くことで、実に自然で、そして爽やかなものを感じさせることに成功しているのは、これはさすがとしか言いようがありません。

 しかし、真に驚かされるのはその後――決着後の鬼ヶ島に現れ、敗者である勝鬼に島もろとも制裁を下そうという信長と、勝鬼との最後の対決の結末であります。
 その内容について、ここでは触れませんが、信長と勝鬼の初対面のエピソードを敷衍しつつ、勝鬼のキャラクターを全うさせつつも、信長の中の「漢」をも感じさせる見事な結末で、波瀾万丈の鬼ヶ島編を締めるのに、まこと相応しいものであったかと思います。


 さて、連載中の展開では、信長軍二番手との対決を前に、五右衛門の封印された過去が描かれますが、これがまた実に面白い内容。五巻が刊行されたばかりですが、早く次の巻も…と、希望してしまう次第です。

「風が如く」第5巻(米原秀幸 秋田書店少年チャンピオンコミックス) Amazon


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