「あっけら貫刃帖」 もったいない時代活劇?
時は享保、続発する辻斬り事件に、江戸の町は震え上がっていた。父が辻斬りの犠牲となった青年・山本青葉は、犯人と思しき男と対決するが、その正体――妖と化した刀「刀魔」に追い詰められる。そんな彼を救ったのは、子供にしか見えぬ外見ながら刀魔を討つ力を持った刀狩衆・裂鬼助だった!
今ごろずいぶん昔の作品で恐縮ですが…
いわゆる四大週刊少年漫画誌でも、何となく「少年ジャンプ」は時代劇漫画に冷たいという印象があります。もちろんそれは単なる思いこみで、「るろうに剣心」が大ヒットを記録したのはまだ記憶に新しいことですし、現在も――ファンタジー世界あるいはパラレルワールドではありますが――「銀魂」「NARUTO」といった時代劇を題材とした作品が人気となっています。
にもかかわらず…というイメージがあるのは、結構な数の時代劇漫画が連載されては直ぐに消えていることがあるのではないかという気がしますが、本作もその一つ。
徳川吉宗の時代を舞台に、戦国時代に生まれた生ける刀の妖魔「刀魔」たちと、対刀魔のために集められた隠密集団・刀狩衆の対決を背景に、ごく普通の青年武士だった青葉と、大飯喰らいの少年(?)・裂鬼助の活躍を描く本作は、紛うことなき時代伝奇もの。連載開始時は私も「おっ」と思ったものの、結果としては、連載全十二回・単行本全二巻と、典型的なジャンプの打ち切りパターンで終わってしまっています。
人の世に隠れて魔物たちを討つ秘密組織という設定自体は、山のような数の作品で見られるものではあります。しかしながら、刀魔の設定自体はなかなかユニークかつ、ひねりようによっては色々とバリエーションを持たせることができるものだったと思いますし、人に害する刀魔を討つ刀狩衆が、決して正義の味方というわけではなく、様々な思惑を秘めた存在というのも悪くありません。そして何よりも、その両者を繋ぐ裂鬼助の存在(設定)がなかなか面白かったのですが…
そんな本作が残念な結果となってしまった理由は、これは今となっては想像するほかありませんが、一つには、折角用意した享保という時代をうまく使いこなせず(これはストーリーが本格的に展開する前に終了してしまったようなので微妙ですが)、読者にとって舞台設定を魅力あるものとして提示できなかったこと、ひいては、その舞台設定と結びついたキャラクターのドラマを展開させることができなかった、ということがあるように思います。
も一つ、これは時代もの抜きで言えば、裂鬼助のとぼけたキャラクターと、あっけらかん…というにはいささか重いストーリー・設定に違和感があることも大きかったのだと思います。
個人的には、裂鬼助の「正体」をもっと早い段階――というか第一話のクライマックスから――見せていれば、また違っていたようにも思いますが…折角の美形なんだから、ねえ(安直?)
と、十年近くも前の作品を取り上げてダメ出しばかりしてしまったようで非常に申し訳ないのですが、それでもあえて今回本作を取り上げたのは、少年漫画誌で時代ものをやることの難しさの一端が本作から透けて見えるように感じられたのと、何よりも、伝奇時代劇アジテーターとしては、本作がこのまま埋もれてしまうのが非常に勿体なく思えたからであります。
最終話ラストで触れられた、歴史的な大事件――これこそは享保期ならでは、のものであります――の背後で繰り広げられたであろう刀狩衆と刀魔の死闘の姿を目にすることは、これは今からでは無理としかいいようはないかと思いますが、それでも描かれざる物語を想像してみたくなる…そんな作品でありました。
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コメント
自分も連載当時に好きだった作品で打ち切りは残念でした
単行本で読み直した時に、バトルシーンが下手ってのに改めて気づき、ジャンプの連載としては、それが致命的だったのではと思ったもんです
ただ幽遊白書なんかもバトル展開になった初期は下手なんですよね、それでも人気があったから、あっけらの方は何か足りないものがあったんでしょうね
その後の連載も雑誌が休刊したりして運に恵まれない感じですが、作者は若くして亡くなってるんですね
それが一番残念です
投稿: 通りすがり | 2023.10.20 00:41