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2010.01.07

「なまずランプ」第1巻 大江戸クリフハンガー走る

 ちんけなごろつきの平次郎は、無実の罪で牢に入れられ、処刑の朝を迎える。苦し紛れに牢内で死んだ男の言葉を口走ったおかげでその場は助かったものの、江戸城御金蔵破りの犯人を探す羽目に…自分の身代わりに牢に入れられた妹を救うため、平次郎は江戸を駆ける。

 どこにどんな面白い作品が待っているかわからない…ということは、このブログを始めてから幾度となく感じています。
 書店で偶然単行本を手にした本作もその一つ。
 安政六年、大地震から四年後の江戸を舞台に、不運なごろつき・平次郎が、次から次へと降りかかる災難を口八丁手八丁でくぐり抜けつつ、江戸城御金蔵破りの犯人を追う、かなりユニークな時代サスペンスであります。

 堅固なものの代表格のような江戸城御金蔵ですが、実は史実でもこの安政年間に破られております。
 それは、幕末における幕府の権威の失墜を象徴する事件…と述べたのは岡本綺堂だったかと思いますが、本作では上の連中のことなど知ったものかは、大事件に巻き込まれた平次郎が、文字通り命懸けで奔走することになります。

 その平次郎の運命の変転たるや、冒頭からめまぐるしいの一言。
 岡っ引きにハメられて人殺しの罪で牢に送られ、死罪の裁きを受けて首の座に引き出され、そこで牢死した男の遺した謎の言葉を思い出してかましたハッタリで首が繋がったかと思えば、妹を身代わりにして牢から出て犯人を捜すことになり――
 これが本当に序の口。この後も次から次へと危機に陥る平次郎の姿は、まさにクリフハンガーという言葉がピッタリであります。

 そしてこの平次郎が、人並み優れたところが何もない、むしろ完全にダメ人間であるところが、逆に物語を盛り上げます。
 とにかく不運なダメ人間(縁談が決まった妹を身代わりにして出獄するくらいダメ人間)が、波瀾万丈に過ぎる運命に如何に立ち向かってみせるか――ヒーローでないからこそ描けるドラマが、ここにはあります。


 冒頭で設定されたタイムリミットがあっさりリセットされたり、サブタイトルの「都市伝説」が今一つ意味不明であったり(尤も、これはこの先の展開待ちでしょう)と、ちょっとひっかかる部分がないわけではありませんが、そんな小さなことを気にしている場合ではない大江戸クリフハンガーたる本作。

 最近の時代漫画としては――いや最近の時代小説と比べても――実にユニークな内容の作品であり、大いに好感が持てます(考証にもかなり力が入っている印象ですね)。

 これは確かに先が読めない…いや先が読みたくなる作品であります。

「なまずランプ 幕末都市伝説」第1巻(たかぎ七彦 講談社モーニングKC) Amazon
なまずランプ 1 (モーニングKC)

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