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2010.01.23

「忍歌」第2巻 忍びと人間の間で

 誰よりも人間的な幸せを求めているのに、卓越した忍びの技をもつばかりに苦難の運命に巻き込まれる忍び・歌丸の死闘を描く「忍歌」第二巻にして完結巻の登場であります。
 服部半蔵正成に奪われた身重の妻・おみつを追っての歌丸の追跡行は、意外な結末を迎えることになります。

 おみつを追って国を抜けた末に、今川に雇われた歌丸を待っていたのは、今川・武田連合による、松平元康暗殺ミッション。
 松平元康は、言うまでもなく徳川家康の元の名であり、つまり服部半蔵の主君――ここで彼本来の目的と忍びとしての仕事が合致した歌丸は、勇躍、元康、いや半蔵正成の元に向かうのですが…

 そこで正成の二人の兄、そして父である半蔵保長を破ったものの、おみつは取り戻せず、かえって鉄の結束を誇る伊賀者たちにとってのお尋ね者となってしまった歌丸。
 それでもなお、妻を求めて流浪を続け、ついには忍び嫌いとして知られるあの武将と出会うことになるのですが…

 ここから先のクライマックスの展開とその結末は、かなり意外かつ切ないものではあるのですが――この二巻で完結ということを事前に知らなかったため、正直なところかなり面食らいました――しかし、歌丸が何のために戦ってきたかを考えればそれも納得の結末。
 彼が戦い続けてきた理由…それは、単におみつ恋しさに留まらず、おみつが、彼女の愛が――そしてその彼女を愛する自分の心を捨てずにいることが――今の「忍び」という非人間的な身分から、自分を「人間」にしてくれるからにほかなりません。
(そして彼の宿敵もまた…という展開には、その後半生を考えれば大いに納得であります)

 最下層の忍びに生まれ、生涯人の道具となるほかなかった彼が、妻と引き離されることにより、人間として生きるきっかけを掴むというのは、皮肉というより悪意めいた運命ではありますが、それだからこそ、想いを全うした彼の生き様が、印象に残るのでしょう。

 戦国時代の著名人を幾人も物語に絡め、忍者同士の死闘を達者なアクション描写で描きつつも、「忍び」と「人間」の間で揺れる主人公のドラマを描いた本作。

 忍歌が物語の中で段々扱いが軽くなっていった感もあり――忍歌という忍びとしての行動マニュアルと、それを実践しつつも、精神の上で外れていく歌丸の対比も面白かったのですが――また、やはり終盤は駆け足となってしまった印象もあるのですが、やはりこの作者の作品に外れはないと、改めて感じた次第です。


 ちなみに、登場人物の一部のデザインが、並行して連載されていた「信長戦記」のそれと同じだったのは(当たり前と言えば当たり前なのですが)ちょっと面白かったかな。

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