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2010.01.21

「義風堂々!! 直江兼続 前田慶次月語り」第5巻 己の義を通す者たち

 大河ドラマの主役は兼続から龍馬に移ってしまいましたが(しかも同じ雑誌に連載されている龍馬ものが本書と同時発売)、こちらの兼続の活躍は、まだまだこれからが本番。「義風堂々!! 直江兼続」の第五巻であります。

 前の巻で謙信が没した越後を待つのは、上杉の家を二つに割っての跡目争い・御館の乱。
 上杉景勝と上杉景虎と…二人の争いは、しかし越後のみに留まることなく、景虎の生家である北条、そして上杉の宿敵たる武田をも巻き込んで、一国の内紛に留まらぬ規模となっていきます。

 この乱の緒戦でイニシアチブを取ったのは、北条と武田を味方につけた景虎ではありますが、もちろん、己の主君であり、また兄のように慕う景勝の窮地に黙っていられる兼続(与六)ではありません。
 与六が選んだ起死回生の一手…それは、槍持ち一人を連れ、飄然と武田の本陣に赴くことでありました――謙信の装束を身にまとって。

 この御館の乱において、初めは景虎側だった武田勝頼が、黄金一万両で買収されて景勝側に鞍替えした、というのは「甲陽軍鑑」などに見られるエピソードですが、本作ではその使者となったのが与六という設定。

 そして、与六と勝頼、快川紹喜の、男と男の会談となるわけですが…これが実に気持ちの良い、爽快なエピソード。
 それぞれ立場思惑の違いはあれど、義を抱くという点では同じ男と男。そんな奴らが酒を酌み交わせば、通じぬ想いなどない――

 時代錯誤? いやいや、王道はいつの時代も変わらないのであります。
(特に与六の「もう一杯じゃ!」は胸の熱くなるような痛快な台詞でありました)

 そして、勝頼と与六を――共に、偉大な父を持ち、また周囲の環境と運命に翻弄されながらも、己の義を通す者として描いてみせたのも、なかなか興味深いところです。

 さらに言ってしまえば、彼らの中に、名作「花の慶次」と本作の関係が重なってくる、というのはこれは穿ちすぎかもしれませんが…

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義風堂々!!直江兼続前田慶次月語り 5 (BUNCH COMICS)


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