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2010.02.23

「月の蛇 水滸伝異聞」第2巻 黒い蛇矛、その名は…

 もう一つの異聞の方は終わってしまいましたが、こちらは頑張る「月の蛇 水滸伝異聞」。
 第一巻はキャラクター紹介編の感がありましたが、この第二巻では趙飛虎ら主人公側の三人の出会いの模様が語られるなど、少しずつ物語が動き始めた感があります。

 李忠・周通・穆弘・薛永を倒した趙飛虎と彼の「主君」こと祝翠華。
 まだ少女ながら梁山泊討滅を悲願とする翠華と飛虎が出会ったのは…という過去エピソードが、冒頭で描かれます。

 ひたすら強い相手を求め、梁山泊の五虎将の董平(真っ先に倒されたのはともかく、一コマも登場しなかったのはまことに残念。ただでさえ、ほとんど漫画に登場したことのない好漢なのに…いや、個人的に好きな好漢なだけですが)を倒した飛虎の力を借りるべく、翠華が訪れたのは北京牢城。しかしその牢城は梁山泊の蔡福・蔡慶に牛耳られた、カサンドラ牢獄のような恐怖の獄で…
 と、ここでは蔡福・蔡慶が救いようのない悪人として描かれていますが、それはよいとして、むしろ本題は二人との対決後に登場した林冲の存在でしょう。

 世の中の全てに絶望して己の両目を閉ざしたという意味ありげな姿で描かれる林冲。その彼の目を一年ぶりに開かせたのは、飛虎が持つ黒い蛇矛――その名も「月の蛇」!
 元々、飛虎が蛇矛を持っていることから、同じく蛇矛を得物とする林冲との関係は物語当初から気になっていましたが、ここでは黒い蛇矛の名――そして本作のタイトルの由来――が語られただけで終わったものの、これからの展開が気になるヒキでありました。

 物語の方は、その後、江州を舞台に穆弘の敵討ちに燃える李俊・張順・張横と飛虎らの対決が描かれることになりますが、そちらは第三巻に続くとして、そろそろ気になってくるのは、翠華が梁山泊を執拗につけ狙うその理由。
 「祝」という姓から大体のところは察しが付きますが、さて、いかに梁山泊が悪人の集まりとて、彼女の戦いの動機――おそらくは私憤――に、どれだけの説得力を持たせられるか?

 ここがうまく描かれなかった場合は、単に「水滸伝」という物語の構造を裏返しにしたに過ぎなくなってしまうわけで(それはそれで面白いのですが)、ある意味本作の存在意義が問われることになるかと思うのですが…さて。


 ちなみに――今頃気付くのもお恥ずかしいのですが――本作で飛虎たちと戦いながらも死ななかった面々(穆春・蔡慶・童兄弟・そしておそらく李俊)は、原典でも生き延びたメンバーなのですね。なかなか面白い。

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