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2010.02.19

「風が如く」第6巻 対決、伊賀対甲賀 そして…

 雑誌連載の方は最終章突入ということで、ファンにとっては胃が痛くなるような今日この頃ですが、単行本でまとめて読むとやっぱり面白い「風が如く」。
 第六巻にで五右衛門の前に現れるのは信長軍二番手・滝川一益、そしてその戦いを経て語られる五右衛門の過去とは…

 滝川一益は、信長配下の武将の中では比較的マイナーかもしれませんが、しかし時代伝奇ファンであれば忘れてはいけない人物。
 何しろ出身地があの甲賀ということで、前歴が今ひとつわからないこともあり、時代伝奇ものに登場する時には高確率で忍者として描かれることが多いのです(ちなみに前田慶次郎は一益の縁者)。

 本作の一益ももちろん(?)忍者。それも甲賀忍者の総帥であり、実力も最強クラス――というわけで、五右衛門と一益のファーストコンタクトは、伊賀と甲賀の忍術合戦となるのですが…これがまた実に読み応えある内容なのです。

 分量で言えば、週刊連載一回分なのですが、そのほとんど全てを使っての対決は、何でもありが信条の本作らしく、どこから何が飛び出してくるかわからないアクションの連続。
 元々画力には定評のある米原先生だけに、実は無茶苦茶をやっているはずが(対決終盤の一益の乱射モードなどその真骨頂)、むしろリアリティすら感じさせる描写には、ただただコーフンさせられるばかり…

 この一益との対決の前に挿入されている短編エピソードで描かれた、五右衛門と出雲の阿国とのバイク対決(!)にも舌を巻きましたが、実に痛快なアクション描写であります。


 …が、決してアクションだけではない本作の魅力。この第六巻後半から描かれる五右衛門の過去篇では、五右衛門の孤独な魂のあり方を描く人間ドラマが展開していきます。

 幼い頃に伊賀の上忍・百地三太夫に買われ、忍者候補生として苛烈な試練の数々を受けることとなった五右衛門。
 かつては目的もなく、ただ流されるままに生きてきた彼の心の中に、その試練の数々は、しかし、人間として在るべきものを与えていくことになるのですが…

 身よりのない子供たちを集めた養成場という、バトルものの過去話には定番の鬱要素かと思いきや、しかしそこでグッとくるような成長物語が展開していくという意外さもさることながら、一見悪人と見せて実は…の百地先生のキャラクターも相まって、物語展開の妙を味わわせていただきました。

 しかし五右衛門の過去はまだ半ば。鬼ヶ島で勝鬼を倒したあの力の正体は、そして何故五右衛門は伊賀の里と、百地先生と別れることとなったのか――
 一益との対決の行方も含めて、第七巻も必見の展開であります。


 しかし、やっぱり週刊連載の方の加速ぶりは…

「風が如く」第6巻(米原秀幸 秋田書店少年チャンピオンコミックス) Amazon


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