「機巧奇傳ヒヲウ戦記」 第10話「唐人だ! 雪の宿は大騒ぎ」
雪の中も旅を続ける炎一行は、山中の温泉宿で働く代わりに泊めてもらう。そこにやってきたのは、少年武士と深編笠の男。編笠の下が気になるヒヲウは、機巧人形を部屋の中に潜り込ませるが、その騒ぎの中で明らかになった素顔は外国人だった。その外国人・バートと一緒に露天風呂に入り、仲良くなったヒヲウ一行。しかしそこに風陣のウツギの機巧が襲ってくる。一度は撃退したが再び襲ってきたウツギに、ヒヲウは炎で反撃。エレキテルで機巧を粉砕し、バートらは無事に旅立つのだった。
今回は脚本が會川昇氏ではない…というわけで(?)番外編的エピソードであります。
アバンタイトルは、太平天国の乱のお話。上海で植物の調査をしていたプラントハンターのバート・ファイブマン氏が、太平天国軍に襲われた時、彼らを攪乱したのは何とヒヲウの機巧人形で――と、ヒヲウとバート氏の因縁が語られることになります(が、それがヒドいオチなんだ…)
雪に降り込められて飛び込んだ山奥の温泉宿で、謎の深編笠の客と出会ったヒヲウ一行。その深編笠の下はもちろんバート氏。既に開国後とはいえ、確かにこんな山中の宿に異人さんというのは珍しいわけで、タイトル通りの大騒ぎとなるのもまず頷けます。
ヒヲウとシシは、第一話のアバンでシーボルトと出会っているわけですが、これだけ近くで異人さんと接するのは初めて。この辺りの拘りは全くないヒヲウはともかく、シシは初めはちょっと刺々しく当たるのですが…
やっぱり人間、裸の付き合いが一番だよね! というわけで、場所も露天風呂というわけで一緒にお風呂に入ってたちまち仲良くなるバート氏と一行。
風呂に入って、異人さんも自分たちと何も変わらない人間だと知るのは、ベタと言ってしまえばベタですが、ヒヲウやシシの子供っぽさがうまく働いて、スッと違和感なく入ってくるのはうまいものだと思います。
(しかし露天風呂といえばサービス! と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、ええ、ヒヲウとシシがばっちりサービスですよ。マユもサイはガッチリガードです)
ちなみに今回、何だかとってつけたような理由で風呂に入らなかった華と雪ですが…
と、ヒヲウの機巧に夢中のバート氏に面白くない顔なのは弟子の秀太郎。イギリスの蒸気機関は汽車として役に立っているのに、日本の機巧は役に立っていないと言い切りますが…
それに対してサイが「機巧は私たちの誇りなんです。古くからこの国に伝わってきた、大切な物なんです」と言うのは、大人のサイらしくてわからないでもありませんが、ちょっと違和感。むしろヒヲウの「機巧は人を楽しませる。人の役に立ってるじゃないか」という呟きの方が、物語のテーマ的に叶った内容かと思います。
(が、本当にサラッと流された感があるのが残念)
そんなこんなの中に襲ってくる今回の敵キャラは、島田敏声の風陣の刺客・ウツギ。
蒸気機巧の弱点である水に対しても、二重構造で防水ばっちりという機巧を使い、入浴中の一行に襲いかかるのですが、本来の目的は華と雪なのに、バートを目撃してターゲットを変えてしまうのは、風陣という組織が機巧を使って攘夷を企んでいるという設定から不自然さはありません。
まあ、炎サンダー(仮称)に機巧を倒されてあっさり撤退してしまうのですが…
さて、一夜明けて無事旅立つバート氏ですが…彼の手の中にはヒヲウの機巧人形が。
ヒヲウが彼の素顔を見るために、彼の部屋に潜り込ませた機巧人形。それが行方不明になってしまい、ヒヲウはずっと探していたのですが、それがここにあるということは…この異人さん、ヒヲウの機巧人形をいただいちゃってました。
いやーこれはちょっとどうなんだろう。友情の証という理屈でヒヲウがプレゼントしたことでも良かったろうに…日本に対する当時の外国人の態度を端的に示した、ということでもないでしょうに、ちょっとひどいオチだったなあ…
「日本にはいいものたくさんありますね」じゃない!
と、最後にミソをつけてくれたバート・ファイブマン氏。日本の後に上海に行ったという辺り、ロバート・フォーチュンがモデルと思われます。
フォーチュン氏、さすがに機巧人形は持ち出さなかったと思いますが、中国からインドにお茶の木を持ち出して、インドに紅茶産業を根付かせたあたり、やっぱり持ち出すのが好きな人だったのかもしれませんね。
「機巧奇傳ヒヲウ戦記」(バップ DVD-BOX) Amazon
| 固定リンク

コメント