「機巧奇傳ヒヲウ戦記」 第12話「天誅! 正しいのは誰だ」
ついに京に到着したヒヲウは、父の手がかりを求めて向かった先で長州藩士・久坂と出会う。久坂は新月藩と渡りをつけるため、華と雪を連れ出そうとするが、才谷はこれを拒む。一端は引いた久坂だが、仲間が機巧に襲われ、才谷を敵と決めつけて襲いかかる。その混乱に乗じて華と雪を奪おうとする風陣の女・ヌエ。ヒヲウによりヌエの機巧が倒され、久坂の誤解は解けたが、父の行方を知るため、ヒヲウは京都に逗留することになるのだった。
京に舞台を移しての最初のエピソードの今回、アバンタイトルは、嘉永7年1月に上演されたからくり儀右衛門の蒸気仕掛けのからくり芝居の模様。
本編には名前のみの登場となった儀右衛門の紹介篇のような内容ですが、取り締まりに来た役人が、芝居を観て思わず笑顔で拍手してしまうシーンは、機巧の一つのあり方を示すものとして、なかなか印象的であります。
さて、本編の方は、長州藩の志士・久坂玄瑞が登場します。
尊皇攘夷の旗頭として活躍した久坂は、本作では、桜田門外の変にも関わっていたという新月藩と手を結ぼうとしているとの設定。
(ここで長州との関係で、才谷が二人を護ってきたという理由も明かされます)
そのためには、新月藩の若君が必要と語る久坂ですが…若君!?
というわけで、ここで明かされる衝撃の事実、華と雪のどちらかは男の娘子!
もちろん、故あって男児が女児として育てられるというのは、時代ものではよくあるお話(ヒヲウが旅の途中で演じる八犬伝の犬塚信乃も、子供の頃は女装してました)。
しかしどちらかが男の娘子とは…そりゃヒヲウもドキドキです。
それはさておき、さるお方が仲介に入ることになったため、二人が新月藩に行く必要はなくなったという久坂に対し、才谷は自分たちで二人を新月藩に連れて行った上で、何が起きているか確かめると主張。
お互いに敬意を払い、「友達」と呼んでいた二人の間にヒビが入ることに。
さらに、そこに風陣の妖艶な女・ヌエがつけこんだことで、サブタイトルである「天誅!」という騒ぎになってしまうのですが…
この久坂というキャラクター、本作での描かれ方は、決して悪人というわけではなく、ヒヲウたちにも優しく、また華と雪にも手荒な真似は控えようとするかなりの人格者として描かれます(でも、京を炎に変えても攘夷するとヒヲウに熱く語るあたり、やっぱり久坂さんだ…)。
そんな久坂という人物でさえ――ヌエの罠にはまったとはいえ――天の誅罰を口にして、友人である才谷に刃を向けるというのが、なんとも悲しいところであります。
それがこの時代の悲しさであり、イデオロギーの厄介さでもあると言ってしまうのは簡単でしょう。
しかし、「友達」という言葉をストレートに捉え、二人の争いに心から悲しむヒヲウの姿には、やはり考えさせられる姿があります。
さて、久坂たちを襲った機巧が、華と雪を狙った風陣のものだったとわかり(この機巧、蛇と虎、全く異なる姿に変形して久坂たちを惑わせるのが実に面白い)、炎サンダー(仮称)で粉砕されたことで、今回は一件落着であります。
さて、全体を通してみると、今回初めて明かされたような情報がほとんど全てキャラクターの台詞で説明されたため、ちょっと(いやかなり?)わかりにくくなってしまった印象はありますが、しかし久坂さんのキャラ描写も良く(「斬っても日本のためにならないから斬らなかった」とヌエを見逃してしまうところも素敵)、それなりに楽しめる回でした。
結局、儀右衛門が佐賀の鍋島に行っていたため、マスラヲのことを手紙で尋ねる必要があると、京への逗留を余儀なくされるヒヲウ。というわけで次回も京都篇ですが…何だかちょっと意外なタイトル?
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