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2010.03.21

「薔薇とサムライ GoemonRock OverDrive」(その一) 痛快無比、古田五右衛門再登場!

 日本を飛び出し、今は地中海の女海賊アンヌの用心棒におさまった石川五右衛門。しかし彼女の左目にコルドニア王家の証があったことから、アンヌは女王に祭り上げられ、海賊との戦いを余儀なくされてしまう。海賊同盟の一員としてアンヌと対決する五右衛門だが、アンヌの身にも危険が迫っていた…

 今年30周年の劇団☆新感線、その記念すべき年の第一弾興行は、「薔薇とサムライ GoemonRock OverDrive」。「五右衛門ロック」以来、二年ぶり二回目の石川五右衛門に古田新太が、女海賊アンヌ・ザ・トルネードを天海祐希が演じる痛快な大冒険活劇であります。

 今回の舞台は地中海の小王国。五右衛門が身を寄せていた女海賊が、実は亡き王の娘だったことから、五右衛門は王国と海賊の、そして王宮の中で繰り広げられる戦いに巻き込まれることになるのですが…

 いや、これはもう贅言を費やす必要のない痛快な一作であります。
 一言で表せば、新感線ファンであれば、いや、理屈抜きに痛快な冒険活劇が見たければ、絶対見るべき作品。
 もう少し長く表せば、女好きで脳天気で、でもやる時にはやる主人公が、馬鹿で気のいい奴や気っぷのいい姐やらと共に、派手でカッコ良い曲をバックに偉くて悪い奴らをブチのめすようなお話が大好きな人間は絶対見とけ、というほかありません。

 ここしばらくの新感線の作品は、ドラマ性が特に強く、それはそれで間違いなく面白いのですが、理屈抜きに痛快なバカどもの大暴れを見たい、という点からすれば、寂しい部分もあったのは事実かと思います。
 本作はそんなひねくれたファンの想いを笑い飛ばすように、もうこれでもか、と言わんばかりの「面白さ」「楽しさ」の釣瓶打ち。

 アクションあり、おバカあり、そしてそれらの中にもドラマありとぎっしり詰め込まれた、それでいて本当に全くだれず、無駄な場面やキャラクターのない、まさにエンターテイメントのお手本のような作品であると、自信を持って断言できます。


 …そして個人的に何よりも嬉しかったのは、五右衛門がより五右衛門らしく、気持ちの良いキャラクターとして成立していた点であります。

 サブタイトルからわかるように、本作は二年前の「五右衛門ロック」の続編に当たる作品。
 こちらはこちらでまた、実に楽しい作品だったのですが、しかし一点残念だったのは、主人公であるはずの五右衛門が、他のキャラクターに食われてしまっていた部分があったことです。

 「五右衛門ロック」の感想で、私は恐れ知らずにも書かせていただきました。
 「新感線の五右衛門は、まだまだこんなものじゃないだろう」「新感線の五右衛門、古田五右衛門には遙か上を行って欲しい、人の心を、人間の自由を笑う奴らを、真っ向からブチのめして欲しい」と。

 本作の古田五右衛門は、まさにまさにそんな私の気持ちに応えてくれたキャラクター。
 実はお話の中心からは、少し離れたところに立つ存在なのですが、しかしそれが功を奏したか、「これこれ、これが見たかった!」と言いたくなるような、痛快無比な「サムライ」でありました。


 その他、じゅんさんは相変わらず真面目な人に見せたら縁を切られそうな素敵なバカっぷりだったし、粟根さんは相変わらず○○眼鏡だったし、聖子さんは悪女でやっぱり最後はバカで…
 そして客演組も、登場シーンだけで「いいもん見た!」と拝みたくなった天海さん(冒頭のチャンバラシーンがちょっとおぼつかなかったのはご愛敬)をはじめとして、ことごとく見事なはまりっぷり。特に、ジャガーなんだかタイガーなんだか風雲なんだかわからない名前の山本太郎さんの素敵キャラは実に素晴らしかったと思います。

 いや、本当に見に行って良かった、と思い出し笑いが浮かぶ作品です。

(終わったように見せかけて、その二に続く)

「薔薇とサムライ GoemonRock OverDrive」 公式サイト / 戯曲 Amazon
薔薇とサムライ


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