「竹島御免状」(感想・表) 荒山柳生サーガ最新作にして集大成!
鳥取藩に潜入していた裏柳生が、柳生に急報をもたらす寸前、惨殺された。柳生十兵衛は、その下手人の中に驚くべき者を見る。それと期を一にして、剣豪陰陽師・柳生友信は朝鮮妖術師の日本侵入を察知する。かつて領有権を巡り日本と朝鮮が一触即発となった「竹島」を巡り、奇怪な戦いが始まろうとしていた…
※以下の記事はネタバレを含みます。
その大胆極まりないタイトルに、荒山ファンの間で期待が高まっていた「竹島御免状」がついに刊行されました。
隠岐諸島の北西方に浮かぶ竹島――ちなみに江戸時代にこう呼ばれた島は現在の鬱陵島であり、現在竹島と呼ばれるのは当時の松島であります――とその漁業権を巡り、日本と朝鮮が双方の主張を戦わせた竹島一件から四年後の元禄六年、竹島を巡り奇怪な陰謀を巡らす敵の一団に、齢九十一の柳生十兵衛と、あの柳生友景の曾孫・友信が立ち向かうこととなります。
…と、サラッと書いてしまいましたが、今回の主役コンビは荒山ファンであれば驚愕&歓喜の組合せであります。
これまでも様々な荒山作品に登場してきた十兵衛ですが、本作の十兵衛は、「柳生薔薇剣」「柳生百合剣」に登場した十兵衛と同一人物(いやそれどころか…)
慶安三年に死んだはずの十兵衛が、元禄六年に何故生きているのか、という点も含めて、当代最も十兵衛に偏愛を注いできた作者ならではの十兵衛造形であります。
そしてもう一人の主人公・柳生友信は、「柳生陰陽剣」で主役を務めた柳生友景の曾孫であり、そして十兵衛の孫娘・典矩の夫。
チートキャラだった友景に比べればおとなしいですが、それでも四体の式神を操る陰陽師にして、十兵衛の薫陶を受けた遣い手という剣豪陰陽師であります。
(にもかかわらず、今は典矩と駆け落ちした先の深川で、占い師で糊口をしのぐ十三人の子持ちという設定が色々とおかしい。先生、次は文庫書き下ろしで人情ものを書く気ではありますまいか)
このある意味最強タッグの敵となるのは、もちろん(?)朝鮮妖術師――のみならず、三人の剣豪。
その名も柳生五郎右衛門、荒木又右衛門、深尾角馬…この名前を見ただけで共通点に思い至った方はかなりの剣豪ファンかと思いますが、それはさておき、物語の時点で既に故人であるはずの三剣鬼が、強敵として立ち塞がるのです。
(今回使われたある共通点しばりで剣豪を集めるというアイディアはちょっと見たことがなく、感心しました)
妖術あり、チャンバラあり、大怪獣バトルあり、水戸のご老公あり…毎度毎度のことながら、自分が面白いと思ったものを歯止めをかけずに投入しまくったかのような本作――
言うなれば、荒山柳生サーガ最新作にして、集大成。荒山ファンであれば必読としか言いようがない怪作/快作なのであります。
しかし…(裏に続く)
「竹島御免状」(荒山徹 角川書店) Amazon

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