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2010.04.07

「射雕英雄伝EAGLET」第3巻 彼の、最初の戦場

 現在チャンネルNECOで李亞鵬主演のドラマ版が放映されている金庸先生の大河ロマン「射雕英雄伝」。その漫画版…としては、真面目な金庸ファンからはほぼ黙殺されていますが、それでも頑張ってほしい「射雕英雄伝EAGLET」の第三巻の登場であります。

 さて、この巻で描かれるのは、前巻から引き続きの武術大会・江南論剣での死闘の数々。
 成り行きから論剣に参加することとなった主人公・郭靖と黄蓉ですが、その前に現れたもう一人の主人公と言うべき男・完顔康の力の前に手も足もでず…というのが第二巻までのお話。

 内功では一日の長のある黄蓉はともかく、郭靖は片腕に深手を負って、ただでさえ未熟なところが戦力大幅ダウン。それでも論剣の本戦は近づいて…
 というところで、この巻で描かれるのは、達人・洪七公による郭靖特訓編なのですが、これがなかなか面白い。

 これが要するに、郭靖が眠っている間に、過去の戦いを追体験させるというビックリ睡眠学習――これを「睡功」というのはちょっと違う気もしますが――なのですが、しかし、これまでの戦いを遡っていった果てに待つ彼にとっての最初の戦場というのが、彼の父が殺された牛家村での戦いだったという展開には、「なるほど!」と膝を打ちました。

 もちろんその当時、彼は母のお腹の中であったわけですが、しかしあの運命の夜をもって彼の最初の戦いとするそのセンスが実によろしい。
 まさに、彼の波乱に富んだ戦いの人生は、あの夜に始まったのですから…

 本作はストーリー的にも絵的にも、あまりにも原作(のイメージ)とかけ離れていることから、冒頭に書いたように原作ファンの評判は芳しくないのですが、しかし、このようなストーリー上の一ひねりや、相変わらずシャープな作画のアクション描写など、評価できる点は幾つもあると――そしてそれはどんどん増えていっていると――私は感じています。

 原作ものでなければ…というのは失礼極まりない感想ではありますが、しかし正直な印象ではあります。


 さて、江南論剣もいよいよ大詰め。郭靖と完顔康――ライバル同士の二人が、ついに自分たちが生まれる前からの因縁の存在を知ったことで、果たしてどのようなドラマが生まれますか。
 ここまで来たら、どんどんこちらの固定観念を破壊して、驚かせて欲しいものです。

 ちなみにこの巻では西毒・欧陽鋒も顔見せ的に登場。どちらかというと悪い魔法使い然としていますが、これはこれで毒物じじい的で、なかなか良いと思います。
(むしろ西毒に比べると洪七公のデザインが今ひとつ、単なるお爺さんなのは何とも残念…)

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