「大江戸!! あんプラグド」第2巻 本筋は面白いのだけれど…
現代のロック少女・アキが天保時代にタイムスリップ、伝説の天女に祭り上げられて、怪力娘・おなつに花魁・初音、天才少女・ふゆの三人と共に人助けに奔走する羽目になる「大江戸 あんプラグド」の第二巻であります。
第二巻に収録されているのは、第一巻から引き続いての放火魔事件に続き、バカ殿成敗、覗き魔・誘拐犯退治のエピソード。
放火魔事件では、アキたちを助ける謎の黒夜叉頭巾が登場したり――いかにも昔のヒーロー然とした言動にアキが引く一方で、同時代人のおなつが素直に感動するところがおかしい――、バカ殿成敗ではアキが玉の輿に乗せられたりと、どの事件も一筋縄ではいかないものばかりであります。
それと並行して描かれるのは、何と現代でのエピソードであります。
アキをモデルにした天女像が開帳されたことをきっかけに、アキが江戸にタイムスリップしたことを知った友人たちが見つけたのは、アキのものと思しきギター。
そのギターと共に残されていたアキのメモの意味は、そして彼女たちの前に現れた謎の少女の正体は…
と、この辺りの展開は、何となく昔懐かしのジュヴナイルタッチなのが嬉しいのです。
が、その一方で何とも残念なのは、江戸時代で描かれる事件の内容・描写がどうにも杜撰なところ。
第一巻の感想では、天保期の社会風俗を押さえているのに好感を持ちましたが、この巻に収められたエピソードは、考証的にも、お話の内容的にも、かなり杜撰なのが何とも…(詳しくは書きませんが、バカ殿のエピソードは特にひどい)
ちょっと落差が大きいのに驚かされます。
出歯亀撃退のために「見えてるようでぜんぜん恥ずかしくない!」とアキたちが水着姿で立ち向かうシーンなどは、良い意味でバカバカしくて好きなのですが…
(しかしこのエピソード、覗きが自分のことを「出歯亀」と称してしまうのが何とも。いや、これもしかして伏線…なわけはないか)
と、個々のエピソードでは残念な部分も多かったのですが、それでもやっぱり面白いところは面白い。
現代では、アキと思われる女性が天保期に世間を騒がせた罪で処刑されたという史実が見つかり、いやが上にも今後が気になる展開に。
その一方で、天保の方ではあの有名人が登場と、やっぱり先が気になる展開であります。
おそらくは次辺りがクライマックスとなるかと思いますが、一気に盛り上がることを期待する次第です。
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