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2010.06.10

「真田十勇士」第1巻 復活の柴錬大戦

 35年前にNHKで放送された人形劇「真田十勇士」のコミカライズである、本宮ひろ志の漫画版「真田十勇士」が久しぶりに復刊されました。
 元の人形劇はほとんど幻と化している作品だけに、コミカライズといえど復刊はまことにありがたいお話です。

 元の人形劇は、「新八犬伝」の後番組として、1975年から二年間放送された作品。よく知られているように、この時代のNHKは放送後にマスターテープを上書きしてしまうため、現存する話数は全445話中、3,4話にすぎないという幻の作品であります。
 本作は柴錬先生の手によるノベライズ版も刊行されていますが(当ブログでも以前紹介しております)が、こちらも絶版で、復刊は未だなされておりません。

 しかし本作、幻の作品としておくにはあまりにも惜しい作品。なんとなれば――ノベライズ版の紹介の際にも触れましたが――本作は一言でいえば「スーパー柴錬大戦」。柴錬先生の先行する複数の作品を、アレンジし、繋ぎ合わせて、新たに一つの作品としているのです。

 つまり本作は、「柴錬立川文庫」の大部分を占める猿飛佐助・真田幸村を主役としたエピソードを中心に、「忍者からす」「赤い影法師」(人形劇・小説版では「木乃伊館」まで!)といった名作の登場人物・設定を取り入れて再構成された作品。元々オールスターキャスト的だった「柴錬立川文庫」を、更に豪華にしたものなのです。


 と、前置きばかり長くなってしまいましたが、今回復刊された漫画版は、人形劇・小説版をベースに本宮ひろ志先生が描いたもの。 全四巻で刊行されるその第一巻目である本書では、真田幸村が天命を知り、猿飛佐助が誕生する冒頭の場面から始まり、関ヶ原の合戦を経て、徳川方が豊臣潰しのために暗躍する姿が描かれます。

 そんな物語の中登場し、幸村の下に馳せ参じる十勇士は、猿飛佐助、高野小天狗、三好清海、筧十蔵、呉羽自然坊といった面々。
 その他にも、まだこの時点では仲間入りしていないものの、霧隠才蔵に為三、穴山小助、由利鎌之助が登場し、十勇士はこの時点でほとんど顔を見せていることとなります。

 面白いのは、本作の十勇士のメンバーに、高野小天狗や呉羽自然坊といったオリジナルキャラが混じっている点でしょうか。
 他の十勇士メンバーに比べれば、知名度の点でハンデが…などということもなく、どちらも大昔から十勇士のような顔で大暴れを見せてくれるのが何とも楽しい(特に小天狗は、あの「鴉」の当主という設定!)。

 いや、本作のオリジナリティは、既存の(?)十勇士メンバーにおいても無縁ではありません。
 荒武者のイメージがある三好清海は、本作では長髪の美形キャラですし、何よりも霧隠才蔵はカンボジアからやって来たイギリス人剣士なのですから面白いではありませんか(才蔵の場合、言動がモロに本宮キャラなのがさらに…)。

 と、題材は古典的でありながら、オリジナリティの固まりのような本作。
 人形劇版・小説版からはかなりアレンジは加えられているものの、作品そのものの雰囲気は十分感じ取れますし、何よりも荒削りなテンションの高さが、本宮漫画とうまくマッチしていると思います。

 これを期に、小説版も復刊してくれれば…と願いつつ、まずはこの漫画版を存分に楽しませていただくこととしましょう。

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真田十勇士 1 (集英社文庫―コミック版) (集英社文庫 も 8-81)


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 真田十勇士(NHK人形劇原作版)

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