「機巧奇傳ヒヲウ戦記」 第23話「聞こえるか? 炎の声が」
炎の大きすぎる力が戦を起こすのではないかと恐れを抱き、無気力となったヒヲウ。そんな彼に、拳骨和尚は素手で炎を倒し、力が戦を起こすのではない、心が起こすのだと説く。悩みながらも久坂に対し、戦を止めて見せると宣言するヒヲウ。攘夷の流れが、既に自分の力では止められないほどになっていたことに悩む久坂は、ヒヲウに対し海鬼破壊を依頼する。ヒヲウは、父の遺した海鬼を破壊する決意を固め、出撃するのだった。
アバンは、いきなり池田屋事件。池田屋事件と言えば、アカが転じた新選組隊士・奥沢栄助はここで死ぬはずだったのですが、本作では死を偽装して、新選組の影の戦力たる機巧部隊になったとの設定に。
この池田屋でアカが使用したのは、これまでの機巧とは異なる、パワードスーツ型の新型機巧だったようですが…。
さて、それはさておき、前回、華たちを救うためとはいえ、炎の天狗剣で外国船を破壊してしまったことに悩むヒヲウ。
炎の強すぎる力が、戦を起こしてしまうのではないか。そして、自分はその炎の力を使うことを欲しているのではないか?
ヒヲウは悩み、炎に語りかけますが、もちろん炎が答えることはなく――
ここでヒヲウが直面した悩みは、いわゆるロボットものの主人公の多くが経験するもの。
神にも悪魔にもなれる力を持つ巨大ロボット――炎もまた、その系譜に連なるものであることは言うまでもありませんが、その操り手であっても、明確な敵を、戦う意志を持たないヒヲウにとって、その問いがどれだけ重く、酷なものであるかは、想像に難くありません。
この問いと悩みは、おそらくはかつての機の民も直面したものであるはずですが…しかし、ここでヒヲウに道を示すのは意外な人物。長州編冒頭からさりげなく登場していた寺の和尚――その名は物外…って!?
なんと自分は炎より強いと言い出した和尚に、勢いで炎を持ち出したヒヲウですが、さすがに戦うわけにもいかず立ち往生したところに…
和尚は豪拳一閃、境内の大木をへし折るや、その大木を抱え上げて炎の脚に向けて一投! たまらずダウンする炎――本当に勝っちゃった!
この武田物外、またの名を拳骨和尚。本編のナレーションでも語られる通り数々の逸話でその怪力が伝えられる人物。なるほど、「…でもちょっと強すぎですよね」とメタなツッコミは入りましたが、この人物ならば炎に勝っても納得であります。
強すぎる力が戦に直結するわけではないことを、身を以て示した和尚は、力が戦を起こすのではない、心が起こすと、力は使いよう、そのためには心を強くしなければならないとヒヲウに語ります。
もちろん(異常な説得力とはいえ)これは考えてみれば当たり前の言葉、それだけでヒヲウの悩みが晴れるわけはありません。
その後に和尚が語った、「子供は子供でおれ」という言葉の方が、むしろ素直に聞こえますが、しかし、全く行くべき道を失ったヒヲウにとって、これはこれで一条の光。
兄の支えもあり、立ち直った久坂の元に向かったヒヲウは、「戦を止めさせる」と宣言します。
そんなヒヲウに対し、久坂も正直に心中の恐れと不安を語ります。自分たちの始めた攘夷は、加速度的に勢いを得て、自分たちの手では止められなくなってしまったと…
自分たちの正義を行うための手段であったはずの戦(攘夷)が、いつしかそれ自体が目的となってしまう…それこそが、戦の、力の行使の恐ろしさでしょう。
しかし、そんな久坂に対して、ヒヲウは明るい表情で「戦を止めてやる!」と語ります。
ヒヲウに炎という力があるとしても、もちろんこれは容易ではないこと。大人であれば、この言葉を子供の安請け負いと見てしまうかもしれません。
しかし、それでいいのです。子供は子供らしく、ヒヲウはヒヲウらしく――自分にできることをするための一歩を踏み出したのですから。
そしてきっと、そんな一歩が歴史をちょっぴり変えるのでしょうから…
久坂の提案により、攘夷の主戦力たる風陣の海鬼を破壊することとなったヒヲウ。
言うまでもなく海鬼はマスラヲが最後に作った機巧、父の形見であります。
しかしヒヲウの心に迷いはありません。
「俺の名前はヒヲウなんだ!」という言葉とともに、最高のヒキで今回は幕となります。
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