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2010.06.27

「機巧奇傳ヒヲウ戦記」 第25話「舞え! 俺たちの祭」

 高杉の計らいで、攘夷派から身を守るため牢屋敷に入れられたヒヲウ。しかし高杉は軍を率いてフランス艦迎撃に出る。ヒヲウは、同じ牢屋敷の婦人が、音曲を好んだことが理由で軟禁されていると知り、百助と共に機巧芝居を演じる。自分が機の民としてやるべきことを悟ったヒヲウたちは、フランス海軍と長州軍、そして風陣の残党が激突する中に現れ、武器を捨てて舞う。いつしか戦いを止め、人々はその姿に見入るのだった。

 今回のアバンは吉田松陰先生登場。
 松下村塾でナポレオンのことを語る松陰は、その強さの由来を「ふれいへいど」――自由と語ります。
(ちなみに本作の時代考証担当は、名著「江戸のナポレオン伝説」の著者であります)
 そして、牢屋敷に向かって高杉に三味線を弾かせる松陰ですが…

 さて、前回海鬼を沈め、戦いを未然に防ぐことが出来たかに見えたヒヲウですが、しかし最大の戦力を失ったとはいえ、人々が戦う意志を持つ限り、戦いは続きます。
 前々回、前回と、炎という大きすぎる力に対してヒヲウがどのように向き合うかが描かれましたが、今回は、第一部の締めくくりとして、ヒヲウたちが機の民として何を為すかが描かれることになります。

 高杉の計らいで保護のために牢屋敷に入れられたヒヲウ一行。そこでヒヲウは、次の戦いが始まろうとしていることを知り、落胆するのですが…
 そんな中、ヒヲウたちが出会ったのは、同じ牢屋敷に入れられていた由緒ありげな婦人…実はこの婦人こそ、アバンで松陰が三味線を聞かせていた人物であります。
 EDクレジットには名前しか出ませんでしたが、この婦人の名は高須久子。松陰の恋人とも後世に伝えられる女性です。

 同じく牢に入れられた百助から、久子の素性を聞くヒヲウ――彼女は武家の娘でありつつも歌舞音曲を好み、町の芸人たちを呼んで、屋敷で演奏させていました。
 武家の子女が、被差別民である芸人を家に招くとは何ごとか!――という史実での彼女が牢に入れられた理由は、さすがに本作では描けなかったのか、音曲を楽しむのは外聞が悪いから、という理由に変えられています
 しかし、いずれにせよ、彼女が、現代の我々から見れば理不尽な理由で自由を奪われていたことは間違いありません。

 さて、そんな久子の身の上を知ったヒヲウは、牢の中で材料を集めて、皆で久子のために機巧芝居を演じます。この物語の冒頭から、彼らが演じていた機巧芝居を――
 そんな彼らの行動が理解できないミヤに対し、ヒヲウは笑顔で「俺たちはまつりのためにいるんだもん」と語った時、卒然と自分が、機の民が為すべきことを悟るのでありました。
(この時、テツがいつになくはっきりと「機巧は、まつりのために用うべし!」と言うのが、魂の継承を感じさせてイイのです)

 折しも、海岸ではフランス海軍と高杉率いる長州軍がにらみ合い、さらにそこにクロガネたち風陣の残党が乱入。
 今にも血で血を洗う、おそらくは一方が滅びるまで終わらぬ戦いが始まろうとした時… そこに現れた炎は、天狗の剣を投げ捨て、ただ無心に、舞いを見せるのでした。
 これが自分たち機の民の答えだと…

 その炎の舞いは、ヒヲウたちの心は、フランス軍の…そして高杉の心をも動かし(かつて機巧人形に気分を害して演奏をやめた高杉が、自ら三味線を持ち出して演奏を始めるほどに!)、ついに戦いを終わらせます。

 戦いが、戦いを望む心がある限り終わらないのであれば、その心をなくしてしまえばいい。もっともっと楽しく、素敵なことで。
 たとえ周囲から呆れられ、時に蔑まれようとも、歌舞音曲の、芸術の力でもって、戦いを止めさせるために行動する――それがヒヲウたちが、そしておそらくはかつての機の民が選んだ「まつり」なのでしょう。
 実に、炎が人の姿をしている理由は、ここにあったのではないかとすら感じさせられます。

 この展開に――ベタな話で恐縮ですが――本作の監督・アミノテツロー氏の代表作「マクロス7」を思い出す人は多いでしょう。
 あの作品もまた、戦いなぞよりももっともっと楽しいことが世界にはあることを教えるために大暴れする者の物語でありました。その精神は、本作においても継承されているということでしょうか。


 と、ここで物語は美しく一つの結末を迎えるのでありますが、実はちょっとすっきりしなかったのが風陣の扱い。

 前作ラストで重傷を負ったイシは、特にドラマもないまま(それがドラマだったのかもしれませんが)息を引き取り、クロガネたちは、炎が戦場に割って入ったのに気を取られた隙に、フランス軍の攻撃に倒されてしまうという有り様で…
 特に、クロガネたちはどうみても炎のせいで死んだ(?)ように見えてしまうのが、ちょっと後味の悪さに繋がってしまったのが残念であります。そこまで計算していたのかもしれませんが…


 さて、何はともあれ時は流れて四年後。復興した機の民で暮らすヒヲウたちは、皆それぞれに成長した姿を見せます。
(ヒヲウが「ハナ」と名付けた象型機巧に乗ってくるのがおかしい)

 さて、残すところあと一回で待っているものは…「みんなも、ちょっぴり歴史を変える、かもな」という予告の言葉が、印象に残ります。

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