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2010.06.21

「壇ノ浦の決戦 紅無威おとめ組」 大決戦は破天荒に!

 館山藩を狙った紀伊国屋幻之介の企みを辛うじて粉砕したおとめ組。だが萩乃が幻之介に攫われてしまい、後を追う桔梗と小蝶は、途中、鰐に船底を突き破られたという難破船を発見する。さらに江戸周辺では海賊が出没。海を舞台とした怪事件の真相は、そして紅無威おとめ組と幻之介の決戦の行方は…

 かるわざの達人の元気少女・小蝶、男装の剣士にして松平定信の妹・桔梗、発明の天才でお色気過剰のビッチ萩乃、この個性豊かな三人娘が悪を斬る「紅無威おとめ組」のシリーズ第三弾にして、宿敵・紀伊国屋幻之介との決着編であります。

 松平定信を追い落とし、幕府を混乱に陥れようという野望の男・紀伊国屋幻之介(今回、紀伊国屋を名乗る者と幕府の因縁が、名作「紀文大尽舞」に始まることが明示されるのもニヤリ)。彼はシリーズ第一弾の「かるわざ小蝶」では、田沼意次の隠し財産を狙い江戸で暗躍。そして第二弾の「南総里見白珠伝」では、母の玉梓(!)とともに、館山藩乗っ取りの陰謀を展開してきました。

 このどちらもおとめ組の活躍で粉砕されましたが、実は幻之介には第三の企みがありました。
 藤原純友を名乗る海賊の跳梁、そして海中から船を襲う謎の「鰐」――そう、今回の幻之介の野望の舞台、そしておとめ組と幻之介の決戦の地は、大いなる海。
 前作ラストで萩乃をさらった幻之介は、彼女の才を利用して無敵の鉄甲船、さらには水流ジェットを利用した潜水艦を建造、海からの徳川幕府攻撃を目論んでいたのです!

 …と、この時点でとんでもないのですが、こんなのはほんの序の口、基本設定にすぎません。
 小蝶の師匠の軽業師・新左の意外にもほどがある正体とは!?
 小蝶を守り、青龍に変身させる(そう、前作から彼女は変身少女に)白珠の正体は?
 そしてさらなる力を得んとした幻之介が、壇ノ浦へ向かった理由とは…

 こんな調子で次から次へと登場するとんでもないアイディア、ガジェットの連続に、真面目な方は怒り出すかもしれません。
 だが、この無茶苦茶さが、おとめ組の破天荒な暴れっぷりと相まって、実に気持ち良いのです。

 さすがに、まだ真っ当な時代小説していた第一作を読んだ時には、この次元に達するとは思いませんでしたが、しかし第一作の感想で書いたように、本作は言ってみれば大人のライトノベル。

 確かに、ここまでくると、設定のための設定(さすがに幻之介が壇ノ浦に向かう理由は豪快すぎる)と感じる部分もあるのですが、最後には○○○の××様が登場する作品に、小さなことを言うのも野暮ってもの。
 多少の瑕疵よりも勢いが求められる作品というものが、世の中には確かにあるのですから…。俺は線香花火より六尺玉を目指すぜ! という本作のノリ、私は大好きです。


と、西海を血に染める大決戦の果て(勢いのことばかり書いてしまいましたが、本作は、近年では珍しい海洋冒険小説でもあります。いや、終盤の海戦の燃えること!)、ついに悪の首魁を倒した紅無威おとめ組。

 ここで彼女たちの活躍が見納めになるか否かは、読者の応援次第とのことですが――もちろん私は、心のそこから本シリーズの継続を祈って応援するところであります。

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