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2010.07.09

「カミヨミ」第12巻 新皇と帝の間に

 明治の世に復活した平将門公を巡る「将門の首」編もいよいよクライマックス。太古の日月二つの神剣を巡る悲劇から、舞台は再び明治の帝都へと移り、意外な結末を迎えます。
 ついに完全体として復活し、通ろうとする者の命を奪う黒い壁で帝都を封鎖した将門公。かつて新皇として帝に刃を向けた公は、今再び、宮城におわす帝を襲わんとします。

 もちろん、この事態に手をこまねいている零武隊ではありません。懐かしの秘密兵器をもって迎撃体制を整え、さらにはあの人物までもが本領を発揮して(可哀想な子供たち…)活躍しますが――
 しかし、相手はパワーアップした天馬すら一撃で屠った将門公。鎧袖一触とはまさにこのことと、言わんばかりの力で突き進みます。
 最後の希望は、異形と化しながらも初代カミヨミの力で復活した天馬と、帝から三種の神器の一つ・八尺瓊勾玉(いかにも本作らしい異形の神器!)を与えられた帝月のみ――

 一方、冥府の女王と化した菊理のもとに現れたあの北の大国の使者の手には、もう一つの神器が…
 と、まさに事態は風雲急を告げることとなります。

 が、個人的には今回の「将門の首」編は、ちょっと残念な印象。
 「将門の首」本来のエピソードはともかく、この「カミヨミ」という物語全体の本筋――日月の神剣を巡る過去の物語、そして菊理の跳梁が並行して描かれることにより、将門公の存在感が薄れたように感じられるのです。

 こうした構成上の弱点(?)は、大河伝奇ものの後半にはまま見られるものではありますが…
(もっとも、それでも完全に食われたわけではない辺りは、さすが将門公と言うべきでしょうか)

 しかし、残念なままでは終わらないのが、やはり本作の本作たるゆえん。
 いかなる武力も退けた公の怒りを真に静め、板東の守護神としての心を取り戻したもの、そして、その将門公に対して、帝が手向けた言葉の内容――
 この巻のラストで描かれたそれが、実に実に良いのです。

 直球ストレートな展開の中に、こうしたハッとさせられるようなひねりを紛れ込ませてくるのは、本作の最大の魅力。
 これまでもエピソード毎にやられてきましたが、今回もきっちりとこのひねりの妙味を味合わせていただきました。まったく、これがあるからファンをやめられません。


 さて、次の巻より、いよいよ物語は最終章に突入します。
 将門公が消えてもなお残る帝都封鎖の障壁の意味は。果たして過去の悲劇は繰り返されるのか(飛天坊の正体はもしや…)、三種の神器が集まった時に何が起こるのか…

 最大最後の盛り上がりに期待します

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