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2010.07.21

「鴉 KARASU」第1巻 黒衣の青春群像

 ガンガン系歴史・時代漫画紹介シリーズその2。幕末の仙台で活躍した細谷十太夫と衝撃隊(カラス組)を描く本作、以前紹介したD-BOYS主演の舞台「鴉 KARASU」を漫画化した作品であります。

 カラス組(鴉組)については、以前にも紹介しましたが、もう一度簡単におさらいすると、仙台藩士の細谷が、博徒などを集めて結成した遊撃隊。
 本来の名前は「衝撃隊」ですが、黒装束に身を包み、長ドス一本で新政府軍に夜襲を繰り返したことから、鴉組の異名をとった集団であります。

 本作は、その史実を下敷きに、迫る長州軍との戦いを目前に、細谷を中心に結成されたカラス組に参加した若者たちの姿を描く青春群像劇です。

 本作に登場する、細谷と副隊長の乾進之介以外のカラス組の隊員は、以下の通り――
 酒好きのスナイパー・吾郎
 無口なスキンヘッドの浪人・堀田半兵衛
 斧が相棒の樵・竜
 博徒の寅吉
 農民の兄弟・太一と宗次
いずれも、浪人もしくは武士以外の身分のアウトサイダーたちではあるものの、それぞれにやむにやまれぬ理由を抱え、カラス組に参加した面々であります。

 内容的には、舞台同様、細谷自身を描くというより、細谷とカラス組を通じて、周囲に集った彼ら隊員の生き様を描くという趣向
 物語の展開も、細かい部分は追加されているものの、ほぼ舞台をなぞったものとなっています。

 もっとも、漫画ということもあってか、カラス組の敵となる長州の奇兵隊は、さらにカリカチュアされて、世が世紀末であれば、モヒカン頭で暴れ回っていそうな連中ばかり。(隊長がラオウ調の豪傑なのがまたその印象を煽る)

 それだけならばまだしも、敵の中ボスクラス(?)のキャラが、青山輝馬とか華山雄蔵とか芝田秀之&阿須香涼とか、各方面に謝れな名前なのは、さすがにいかがなものかと思いますが…

 折角、漫画ではほとんど手つかずのユニークな題材を用いているのですから、奇兵隊を単なる面白悪人集団としてではなく、血の通った相手として描くことができれば、より面白くなりそうなのに…というのは、正直な感想であります。


 さて、この第一巻には、「ガンガン戦」誌に掲載された、細谷の過去を描く番外編も収録されています。

 実は細谷、仙台藩士として、京都警護に当たっていた時期があるのですが、この時、芝居小屋で「伽羅先代萩」を観て、史実と違うと怒って大暴れした末に仙台に返されるという面白いエピソードがあります。

 番外編では、この時細谷は土方歳三と対決していた! というなかなか面白い意外史となっています。
 しかも、剣では結局土方に敵わなかった細谷が、後に土方の出自を知ったことから、鴉組の構想が生まれるという趣向が実に面白く、今後描かれるであろう土方との再会が、楽しみになった次第です。

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