「あやかしがたり 2」 そして彼が歩む道
山手藩のでのお家騒動を解決して江戸に帰る途中、新之助たちは、仮面の男たちに襲われていた少女・すくねを助ける。彼女が山の民に崇められているカンナギであることを知った新之助は、すくねを守ることを決意する。だが、そんな新之助の想いは、彼に運命の選択を突きつけることになるのだった。
小学館ライトノベル大賞・ガガガ大賞を受賞した渡航先生の時代アクション「あやかしがたり」の、シリーズ第二巻であります。
あやかしを視る力を持つことから、他者から疎まれ、また他者との関わりを避けてきた少年・大久保新之助が、故郷である山手藩のお家騒動を解決する姿を描いたのが前作「あやかしがたり」。
それに引き続き、本作では、彼があやかしとの関わりの中で、重要な選択を迫られることとなります。
前作で共に事件を解決した怪しげな拝み屋・ふくろうや化猫のましろ、そして前作ラストで仲間となった犬神のくろえと共に、江戸に向かう新之助。
江戸に帰れば新しい平穏な暮らしが待っていたはずですが…しかし、山の民のカンナギ・すくねを救ったこと、そしてすくねと山の民を守ろうとしたことから、新之助は更なる戦いとあやかしの世界に踏み込むことになります。
前作での戦いが、彼の故郷を救うためのものであったのに対し、本作での戦いは、本来であれば、彼にとっては無関係なもの。
そんな事件に首を突っ込んでしまうのは、時代ヒーローであれば当然なのかもしれません。
しかし、新之助があやかしを視る力を持ち、それゆえに幼い頃から差別されてきたという彼の設定を考えれば、あやかし絡みの事件に自ら関わることを、そのようにあっさりと割り切ることはできません。
単なる人助けではすまされない巨大な力との対峙。彼自身が普通の人であり続けることができるかの岐路にあって、彼が何のために、誰のために戦うか――それが本作のキモとであります。
そして、そんな彼の決断に影響を与えるのが、「あやかし」という概念の相対性です。
確かに、本作の序盤の挿話で語られる(タイトル通りの)あやかしに関する語りは、この手の話題が好きな人間にとっては常識以前の内容ではあります。
しかし、「あやかし」という存在が、必ずしもそれとして生まれてくるものでも、自ら望んでなるものばかりではなく、他者からそうされてしまうものもあること――それを新之助に教えるという点では、大きな意味があります。
そしてそのことを知った新之助の選んだ道が、あやかしを敵視のみするものでも、あやかしを力として使役するものでもないことは、ある意味当然なのでしょう。
もちろん、己の進むべき道を決めただけで、すべてが順調に行くわけでは、もちろんありません。事実、本作の終盤の展開においては、新之助はある意味主人公失格の扱いとなってしまいます。
しかしそれだからこそ、彼が主人公として次の一歩を踏み出し得るという構造にも、また納得できるものを感じるのです。
地の文でもキャラクターの喋りでも「語り」が多すぎるなど、小説として荒削りな部分は、相変わらずあります。
時代ものとしての必然性も――前述のあやかしの概念はそれなりですが――まだまだ薄いでしょう。
しかしそれでも、主人公同様、このシリーズが己の歩むべき道を見つけ、手探りながら歩き出していると…そしてまた、その行く先を、本作で見えたように思える可能性の行方を、見届けたいと、強く感じるのです。
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