「伴天連XX」第1巻 キャラクターは良し、あとは…
佃島に出没するという河童――その噂を追う瓦版屋の番太郎は、異形の左腕を持つ浪人・無命獅子緒と、異国の宣教師フランシスコ・ザビエルX世と出会い、太古から地球を窺う旧支配者の存在を知る。一連の事件を追い、佃島で行われる奇怪な儀式に辿り着いた三人だが、そこでは旧支配者だごんの影が…
以前、連載初期にも紹介いたしましたクトゥルー・チャンバラ「伴天連XX」の単行本第一巻がついに発売されました。
右に伝説の神刀を持ち、左に奇怪な妖魔ないとごぉんとを宿した剣士・無命獅子緒と、禁断の知識と聖別された釘を武器とする奇妙な宣教師・ザビエルX世(Xavier X…すなわち伴天連XX!)が、江戸を狙う邪神たちとど派手な戦いを繰り広げる時代アクションであります。
この第一巻に収録されているのは佃を舞台とした一連のエピソード。
奇怪な魚面の佃衆の暗躍と、彼らが召喚せんとする邪神だごんとの対決、さらにあの邪神まで登場して…と、物語の導入部を兼ねながら、この時点で既に手加減なしの突っ走りぶりには少々驚かされました。
もっとも、他ではまずお目にかかれないようなとんでもない設定(左腕にないとごぉんとを持つサムライですよ!?)に比して、この第一巻のエピソードは、むしろクトゥルーものとしてはごく定番の内容といった印象であります。
非常に厳しい言い方をしてしまえば、あの呪われたインスマスの町を江戸に持ってきただけ――もっとも、インスマスのマーシュ一族に当たる存在として、佃島の衆を当てはめたのはこれは見事! と大いに賞賛すべきだとは思いますが――で、もう少しひねりが欲しかった…というのが正直な印象ではあります。
また、先の感想でも述べたように、生の神話用語が江戸時代に飛び交う様にはやはり違和感が強くあり、その点においても、神話作品を江戸に移植しただけ、という印象は禁じ得ません。
邪神側に、(M78星雲人みたいなデザインの)平賀源内を持ってくるのも面白いのですが、その正体も定番過ぎて…
もちろん、江戸時代にクトゥルー神話を持ち込んだだけでも、大いに嬉しいところではあるのですが、やはりそこに何がしかの必然性と整合性は用意して欲しい…というのも、伝奇マニアとしての正直な思いであります。
厳し過ぎる評価かもしれませんが、キャラクターは良し、あとは物語と世界設定に独自性を出してくれれば…と、心からの期待を込めての評価であります。
※お詫び
この感想で、「ないとごぉんと」と書くべきところを、「ばいやくへー」と書いてしまった箇所がありました。
クトゥルーものとしては云々などと作品の批判をした人間が、斯様な初歩的・根本的ミスを犯すとは、まことに恥ずかしく、また申し訳なく思います。
ここに訂正とお詫びをさせていただきます。
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