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2010.09.05

「真田十勇士」第4巻 十勇士、戦場に消ゆ

 全四巻の漫画版「真田十勇士」もついにこれで完結。豊臣と徳川の決戦・大坂の陣を舞台に、真田幸村と十勇士の最後の大暴れが展開されます。

 全面対決の運命は避けられず、ついに大坂城に激突することとなった豊臣方と徳川方。当然豊臣方として大坂城に入った幸村たちではありますが、しかし城内は秀頼以下暗愚の将ばかり。
 この戦いに勝利するには、家康の首を取るほかないと密かに決意する幸村ですが…

 その一番手として向かった三好清海は、第三巻のラストで家康の影武者の首と引き替えに壮絶な討ち死に。
 それでも臆することなく、執拗に家康の首を狙う十勇士ですが、これが天命というものか、家康を討つことはかなわず、戦端は開いてしまいます。

 戦場でも常人以上の働きを見せる勇士たちですが、しかしそれでも巨大な戦の流れに挑むには限界というものがあります。
 諸所で活躍を見せながらも、戦の中で埋没していくかに見えた彼らにとって、見せ場となったのはやはり戦以外の場、冬の陣と夏の陣の戦間期でありました。

 既に天下に王手をかけた家康に取って、唯一の気がかりは、孫娘である千姫の安否。彼女を無事に取り戻すことを、家康は腹心の柳生宗矩に命じるのですが…
(ちなみに本作の宗矩、敵役ではあるのですが、家康から結構専門外のことを命じられても不満一つ言わない苦労人であります)

 ここで兄・宗章をも動員した宗矩の策を見抜いたのは、もちろん真田幸村。彼はそれを逆手にとって、なんと千姫に化けた我が子・大助を家康の元に送り込みます。
 家康まであと一歩のところまで迫ったかと思いきや、宗矩の知略の前に正体を見破られた大助の最期の大暴れが、ある意味、この巻の最大の見せ場。

 ただ一人、味方もなく周囲は全て敵――その中で、実に12ページにわたって文字通り孤軍奮闘を繰り広げる大助の姿は、まさに圧巻というほかありません。

 しかし考えてみれば、家康の首を目指すものの、味方は己のみ、家康との間に立ち塞がるのは無数…という状況は、ある意味、大助に限らず、幸村と勇士たちが置かれた状況の縮図というべきものかもしれません。
 そして、皮肉にもその大助の策がきっかけとなったように、豊臣と徳川が最後の決戦に突入していく中に、彼らもまた飲み込まれていきます。


 これ以降の展開がかなり急で、十勇士全ての去就が描かれるわけではないのが残念ではありますが、戦いに次ぐ戦いの果てに辿り着く結末の豪快さは、これはこれで本作らしいと言えるかもしれません。

 滅び行く者の荒ぶる心意気を描いた本宮ひろ志&柴田錬三郎の「真田十勇士」、これにて完結であります。

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