« 「猛き黄金の国 柳生宗矩」第1巻 戦争と対峙する剣士の姿 | トップページ | 「ころころろ」(その一) 若だんなの光を追いかけて »

2010.10.02

「機巧奇傳ヒヲウ戦記」(漫画版)第2巻 もう一つのヒヲウ戦記

 先日まで各話紹介を行ってきた「機巧奇傳ヒヲウ戦記」には、「マガジンZ」誌に連載されていた漫画版が存在します。
 ビフォアストーリーに当たる第一巻については既に紹介しましたが、それ以降、ヒヲウが活躍すアニメ本編に当たるる第二巻から第四巻までも、取りあげないのは勿体ない、というわけで、これから一巻ずつ紹介していきましょう。

 さて、前置き(言い訳)が長くなりましたが、第二巻以降のストーリー「文久篇」は、アニメ本編に当たる部分でありつつも、様々な点で異なる内容となっています。

 この第二巻には、ヒヲウが機の民の村を離れ、長い旅に出ることになる冒頭のエピソードと、旅の最中に立ち寄った山中の村でのエピソードが途中まで収録されています。
 二番目のエピソードは完全に漫画オリジナルですが、冒頭のエピソードは、アニメ版の第一話・第二話をほぼなぞったもの。

 しかし、決定的にアニメ版と異なるのは、この時点で江戸で風陣に狙われていた華と雪の身柄を預かった才谷が、ヒヲウの前に登場することであります。
 そのため、華と雪が逃げ込んだためという原因は加わったものの、ヒヲウたちの村が風陣の攻撃を受け、ヒヲウたちを残して全滅するという展開は同じで、これより「文久篇」が始動することとなります。

 そして続くエピソードは、アラシたちの本格登場篇にして、完全にオリジナルのエピソード。
 マスラヲを訪ねての旅の途中、入江・山県・伊藤ら長州の志士三人と合流したヒヲウたちが誘われた山中の瀬渡村には、風陣の罠が…

 というストーリーは、村そのものが風陣の機巧に改造されているというド派手な仕掛け、そしてアニメ版ではほんのチョイ役だった伊藤をはじめとする吉田松陰門下生たちの登場――これも、この前に才谷と松陰の冒険が描かれたという理由があるかと思いますが――と、実に豪華な内容。

 そしてそれを背景に、村人全てを人質にして戦うアラシと、村人全てを救おうとするヒヲウの姿が対照的に描かれるのも実に印象的で、アニメに勝るとも劣らない、もう一つの「ヒヲウ戦記」として見事に成立していると感じた次第です。
(この瀬渡村のエピソード、ラストがまた泣かせるのですが、それを収録しているのは第三巻なのでまた後ほど)


 さて、このもう一つの「ヒヲウ戦記」には、アニメと比べて、描写の面で特徴・相違があるようにも感じます。
 それは、人の生き死にがより明確に描かれていることであります。

 瀬渡村のエピソードでは、アラシが村人を人質に取った際の、赤ん坊型機巧の描写がなかなか強烈――意に反する行動を取った時には、背中に背負わされた機巧が首の骨をへし折り、さらに止めようとした周囲には背中から棘を飛ばして攻撃する――で、兵器というより、「人を殺すための機巧」の存在をこれ以上ないほど明確に示して強く印象に残ります。

 そしてもう一つ、この第二巻で印象に残るのは、才谷が風陣の忍びを射殺する場面。
 もちろん、嫌悪感と悲しみを示しつつではあるのですが、アニメでは最終回になるまで人を殺めなかった才谷が、ここで人を殺めるとは!? と大いに驚かされました。


 こうした点も含めて、もう一つの「ヒヲウ戦記」をじっくりと楽しみたいと思います。

「機巧奇傳ヒヲウ戦記」第2巻(神宮寺一&会川昇&BONES 講談社マガジンZKC) Amazon
機巧(からくり)奇伝ヒヲウ戦記 (2) (マガジンZKC (0032))


関連記事
 「機巧奇傳ヒヲウ戦記」第1巻 至誠が動かしたもの
 「機巧奇傳ヒヲウ戦記」 放映リスト&キャラクター紹介

|

« 「猛き黄金の国 柳生宗矩」第1巻 戦争と対峙する剣士の姿 | トップページ | 「ころころろ」(その一) 若だんなの光を追いかけて »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/49582606

この記事へのトラックバック一覧です: 「機巧奇傳ヒヲウ戦記」(漫画版)第2巻 もう一つのヒヲウ戦記:

« 「猛き黄金の国 柳生宗矩」第1巻 戦争と対峙する剣士の姿 | トップページ | 「ころころろ」(その一) 若だんなの光を追いかけて »