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2010.10.22

八犬伝特集その十二の七の一 「THE 八犬伝 新章」 第七話「厭離穢土」(その一)

 浜路を追って滝田城に突入した信乃と道節。城に火薬を仕掛けていた親兵衛は、素藤を滅ぼすため信乃たちもろとも城を爆破せんとする。親兵衛を止め、城に潜入する犬士たち。しかし義実が火矢を放ち、犬士たちもろとも城は崩壊を始める。その中で玉の光りに包まれた犬士たちは、巨大な魔物と化した網干を討ち、生還する。数々の犠牲を払い、戦いは終わった。玉を天に返し、定めを変えるために犬士たちは旅に出るのだった。(完)

 いよいよ「THE八犬伝」もこれで完結。最終話は全編これ見せ場、上記のあらすじはほんの上澄みでしかありません。

 赤い橋を渡り、里見義実の滝田城に入った網干と浜路、素藤を追い、城に潜入した信乃と道節。
 道節は信乃を先に行かせて敵をくい止め、信乃は素藤と対峙します。
 その直前、正気に返った浜路に再び玉梓を憑かせようとする(浜路の変貌はそういうことだったのですね)網干を斬った素藤。彼はある意味、本作で最も自分の意志で生きる存在かも知れません。

 しかしこの時あるを予想していたのか、城中に火薬を仕掛けていた親兵衛(とんでもない奴だな…)。
 素藤を城もろとも爆破しようとする親兵衛の頭にあるのは、「里見に仇なす者を滅ぼす」その一事のみ…

 八犬士は里見のために生き、里見のために死ぬと語る親兵衛。
 それは彼らの出生を考えればそうなのかもしれませんが、しかし実のところ、彼らのこれまでの人生においては、里見は縁なき地、今ここで戦っているのも、なりゆきに過ぎません。

 信乃に対し、その点を突く素藤の言葉も、一定の説得力を持っていると言えます。
 しかし、それに対し、浜路のために戦うと答えた信乃――それは里見の犬士ではなく、一個の人間としての叫びであります。

 さて、荘助らの必死の訴えに、暫時の猶予を与えた親兵衛。荘助・現八・大角は抜け道から城に突入しますが、よほどこらえ性がないのか、また親兵衛は火矢を放とうとします。
 それを阻むのは、小文吾、そしてそれまで親兵衛に従っていた毛野…妹・浜路の命を重んじる里見義成も加わり、三人と親兵衛が激突するかに見えたとき…

 城に打ち込まれる火矢。それは、義実が放ったものでした。
 親兵衛が城を爆破すると語った、さすがに驚いていた義実。しかしそれは城を失うことへの衝撃であり、浜路を失うことは、既に彼にとっては考慮の外でありました。
 その彼が、素藤を、自分の敵を滅ぼすためには手段を選ばなくなった――かつて娘と引き替えに犬に敵の死を願ったのと同様に――その果ての火矢なのでしょう。

 そして大爆発を起こし、崩壊していく城に、しかし小文吾、さらに毛野は仲間たちを追って走ります(「お前まで犬死にする気か」と止める親兵衛に「私たちは里見の犬とやらではなかったのですか」と言い放つ毛野さんが素敵)

 そして大混乱の中、ボロボロになった櫓にかろうじて捕まっていた信乃と素藤。しかし、素藤は浜路を信乃に任せ、地下に落ちていきます。
 素藤がここで何故そんな行動を取ったか――それは、言うまでもありますまい。
 本作の中で数少ない、自らの役割を知りつつも、それに明確に逆らって見せた男ならではの想いが、そこにはあります。

 それでもなお、城の崩壊は続きます。城を包む赤い光に七犬士が、丶大が巻き込まれていく中、義実の、網干の哄笑が響き渡るのですが――

 非常に長くなったので次回に続きます。



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