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2010.11.16

「勝負鷹 金座破り」 心に掟を持つ男!

 江戸に現れた勝負鷹に、大仕事の声がかかった。標的は幕府が貨幣改鋳のために集めた古小判三千両。金座改役・後藤三右衛門に復讐せんとするその息子から情報を得た鷹は、昔なじみの腕利きたちを集め、金座破りに挑む。火盗改らの厳重な警戒をかいくぐり、鷹は見事三千両を奪うことができるか!?

 「勝負鷹 強奪二千両」で、痛快かつ鮮烈なデビューを飾った勝負鷹が帰ってきました。
 関東の名だたる親分衆の前から二千両を奪ってのけた鷹の次なる獲物は、江戸のど真ん中、金座に集められた三千両の小判。挑むは鷹と四人の仲間たちであります。

 その三千両というのもただの代物ではなく、水野三羽烏とも言われ権勢を誇った金座改役・後藤三右衛門が、貨幣改鋳のために集めた古小判。
 当然、幕府の威信を賭けた事情であるからして警備は厳重――鷹たち白波にとっては天敵とも言える火付盗賊改、さらには甲府から鷹を追ってきたが関八州取締出役が守る金座に、鷹は挑むことになります。そこで鷹が選んだのは、
 百化けの早乙女
 土手の道哲
 一つ目橋の龍蔵
 力士崩れ砲盛
と、二つ名を見ているだけでゾクゾクするようなプロフェッショナルたち。
 引き込み役の早乙女を除けば、今回はいずれも荒事のプロばかり、いずれも一癖も二癖もある面々が現れる場面には、大いに胸躍らせていただきました。

 しかしもちろん、鷹がどれだけ綿密な計画を立て、どれだけ頼もしい仲間を集めようとも、作戦がすんなりいっては話になりません。
 一見順調に進んでいるように見える計画の背後で密かに進むもう一つの計画…今回も、裏切りと罠に満ちたスリリングな冒険が展開されることになるのでありました。


 正直なところ、前作に比べるとミステリ色は薄いのですが――前作のクライマックスが豪快すぎるという気も――しかし、序盤で感じた小さな違和感が後々の伏線となる構成はやはりお見事。
 前作同様鷹同様、謎の覆面作家・片倉出雲は今回も大仕事をやり遂げた、と言ってよいでしょう。

 そして個人的にしびれたのは、勝負鷹のキャラクターであります。
 鷹の稼業は白波(盗賊)。どう転んでも善人にはなれず、むしろ目的のための障害は、誰であれ冷徹に排除していくであろう人物です。

 しかし、鷹は単なる悪党としては描かれません。
 己の悪に溺れて非道を働くのでもなく、かといって己の稼業を恥じるでもなく、また社会の落伍者面をしていじけるでもなく――

 ただ己のなすべきことを一心に行う、それが鷹の心意気であり、そして彼が己に課した掟なのでしょう。
 だからこそ、鷹が憎み、怒るのは、その掟に外れた裏切りなのです。
(シリーズ全体のキャッチフレーズに使ってよいほどの鷹のラストの台詞の格好良さ!)

 そしてそれだからこそ、その氏素性はほとんど不要なものとして描かれず(文庫書き下ろし時代小説としてはこれは実は破格のことであります)、我々読者と縁遠いところにいながらも、勝負鷹はこれだけ魅力的に映るのでしょう。

 心に掟を持つ男、勝負鷹。
 彼の更なる活躍に、今から胸躍らせて期待しているところです。

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