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2010.11.27

「伴天連XX」第2巻 神話の枠をブチ破って

 左手にないとごぉんとを、右手に宝刀獅子王を持つ男・無命獅子緒と、禁断の知識と聖釘を武器とするフランシスコ・ザビエルX世が、江戸を覆うクトゥルーの影に立ち向かう「伴天連XX」の第2巻の登場です。

 今回、獅子緒とザビエル、そして読売屋の番太郎が巻き込まれたのは、かの葛飾北斎を巡る事件を描く「弘法の筆」編であります。

 北斎といえば、もちろんあの浮世絵の北斎ですが、本作の北斎は、なんと色っぽい姉御肌の女性。
 番太郎と同じ長屋に住んでいた北斎が新たに引っ越した先(この辺り、史実の北斎が引っ越し魔だったことを思い出してニヤリ)が、あろうことかあの平賀源内の旧宅だったことから、思いもよらぬ大騒動が巻き起こることになります。

 …いや、これが本当に思いもよらぬ展開。様々な魔道書や呪具が残された源内邸で北斎が見つけたもの、「弘法の筆」なる銘が付けられた筆のその正体が、まさか○○○○だったとは――!

 いやはや、第1巻の感想で独創性が云々などと生意気を申しましたが、私が間違っていました。
 色々とクトゥルー神話作品を読んできましたが、○○○○をこのように使った作品は(私の知る限りでは)初めてです。

 北斎ありきの設定であって、○○○○である必然性はさほどないような気はするのですが、しかし高い可塑性と変幻自在な点を墨絵に組み合わせ、描いたものを実体化する筆の怪異として成立させているのには大いに感心した次第です。

 そしてこの巻の後半に収録されているのは「肉人」編。
 江戸時代の怪奇事件好きであればよくご存じと思われる、駿府城で徳川家康が目撃した謎の生物・肉人をサブタイトルに冠したエピソードですが…

 これがまた、予想もつかない展開の数々なのです。
 肉人を求める将軍に遣わされた御庭番とともに、肉人≒ぬつぺふほふが現れたという駿府国は府中に向かうこととなった獅子緒一行(河童が深きものどもだったんだから、ぬつぺふほふが旧支配者に関わっていてもおかしくない! というヒドイ論理)

 そこで彼らが見たものは、突然の温泉噴出で沸き立つ府中の人々。そこであらゆる傷を治すというぬつぺふほふが住まうという井戸を見つけた一行ですが、当然(?)ぬつぺふほふが世のため人のためになる存在であるわけもなく、さらにその背後にはとてつもない神格が!

 というわけで、いやさすがにこれは飛ばしすぎでは――いくらこの次元に偏在できる神といっても、駿府にいるのはどうなのかしら?――と思いつつも、しかしここまでやってくれば、もう後はひたすら面白がるしかありません。

 ラストには再び平賀源内(その正体はあの有名神!)が登場し、ますます先が読めなくなったこの「肉人」編。
(ガマンできずに連載分も読んでしまいましたが、いやはやこの先はもっともっと大変なことになっておりました…)

 このエピソードが、いやこの作品がこの先どうなるのか、どこまで行ってしまうのか…
 もはやクトゥルー神話という枠さえブチ破りかねない勢いの本作、こうなったらとことんまで楽しませていただきたいと思います。

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