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2011.01.08

「コミック乱ツインズ 戦国武将列伝」2月号 伝奇者も必読!

 これまでほとんどノーマークだった「コミック乱ツインズ 戦国武将列伝」誌ですが、最新号は五大新連載――の中に長谷川哲也による「陣借り平助」漫画化があったり、森秀樹による「駿河城御前試合」があったりと、実にこのブログ向けの内容。というわけで、掲載作品の中から目に付いた作品をいくつか紹介します。

「陣借り平助」(長谷川哲也&宮本昌孝)
 というわけで、個人的には一番の目玉作品。昨年末に「ナポレオン 獅子の時代」打ち切りフェイク騒動でファンに冷や汗をかかせた長谷川哲也が、宮本昌孝の快作を漫画化であります。

 宮本作品に長谷川絵というのは、意外なようなそうでないような取り合わせですが、本作ではイエスの印象。豪快極まりない平助の活躍をいい具合にビジュアル化しています。
 思っていたより平助がバタ臭い――大陸軍にいそうな――顔立ちですが、しかし設定を考えればOKでしょう。

 内容的には原作の第一話、信長の桶狭間の戦を舞台に、毛利新介(の許嫁)のために一肌脱ぐ平助のエピソードをほぼ忠実に漫画化。
 やや駆け足の印象もありますが、まずはデビュー戦としては上々ではないでしょうか。
 ちなみに全裸で馬を担いで池から現れるという平助の初登場シーンは、これは原作にあるもので、長谷川イズム(というより小池イズム)の発露ではありません。


「伊達忍風帖」(那葉優花&白川晶)
 特別読み切り。Webコミックでワイアット・アープ物語(!)を描いている那葉優花が、若き日の伊達政宗を支える忍びたちの活躍を描いた作品です。

 政宗にスカウトされた月山修験者の掃海坊右近らが、小手森城の撫で切りの陰で暗躍する様を描いた本作、撫で切りが忍び側の発案というのはなるほどと感じますが、タイトルほど派手な話ではないのが残念。
 伝奇ものというより、史実+忍者ものという印象でした。


「腕KAINA 駿河城御前試合」(森秀樹&南條範夫)
 同じく新連載。いまや南條作品でもすっかりメジャーなものとなった「駿河城御前試合」を、森秀樹が漫画化していく第一回であり、題材は当然「無明逆流れ」であります。

 まことに失礼ながら、今更「無明逆流れ」とは…と思いましたが、しかしさすがは森秀樹、原作に忠実に描きながらも、随所に唸らされるポイントがあります。

 虎眼が伊良子の無明逆流れに両断されるシーンの迫力。藤木が腕を断たれた直後、四人の男女それぞれの姿を描く四つのコマの味わい。そして何よりもラストの三重の選択を知った藤木の表情など、実にいいのです。

 正直なところ、森秀樹(の絵)がどこに行くのかは心配ではあるのですが、それはさておいてやはりいいものはいい。
 結末に原作にない一捻りがあるのも面白く、次回以降も期待できそうです。(戦国…? とか言わない)


「関東三国志外伝 乱波」(木村直巳)
 こちらも新連載。ベテラン木村直巳による、風魔乱波から見た北条・上杉・武田の関東三国志を描く作品…でしょう。

 序章とも言うべき今回は、かの河越夜戦を舞台に、戦場で青い瞳の赤子を見つけた風魔の小頭・二曲輪猪助を主人公としたエピソード。
 ついつい赤子に情が移り、背中におぶったまま任務に当たる猪助の人の良さが、作者の太い描線で描かれるのが楽しいのですが、その猪助と赤子の絆が思わぬ形で示されるラストもよい味わいです。
(しかし、上杉方に足軽として潜入した猪助が赤子を背負っていても不思議に思われないあたり――考証的に正しいかどうかは別として――当時の合戦の雰囲気が出ていて面白い)

 予告によれば、どうやら赤子が五代目風魔小太郎になるようですが、赤子の出自も含めてなかなか面白そうです。


 というわけで、伝奇者的にも非常に面白くなってきた「戦国武将列伝」、しばらく購読決定であります。

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