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2011.02.24

「石影妖漫画譚」第2巻 石影対凶剣士

 その筆に描いた妖怪を実体化させる筆を持つ妖怪絵師・烏山石影の活躍を描く「石影妖漫画譚」の第2巻であります。
 この巻では、江戸の町を騒がす奇怪な凶剣士と火付盗賊改の対決に、石影が割って入ることとなるのですが…

 江戸の名だたる道場を次々と襲う道場破り――その手口は、その手に得物を持っていないのに、犠牲者は一瞬のうちに体の一部を切断され、しかもその傷からは一滴も血が出ないという奇怪なもの。

 犯人を追う火付盗賊改ですが、しかしその中からも無惨な犠牲者が出てしまい、若き長官・中山騎鉄は復仇の念に燃えることとなります。

 一方、石影は、犯人の奇怪な手口に妖怪の影を感じ取り、事件に興味を持つのですが、石影に筆を与えた妖怪・毛羽毛現は、事件は人間の仕業と断言。
 果たして犯人は人間か、妖怪か…無理矢理首を突っ込んできた石影と心ならずも組むこととなった騎鉄は、ついに犯人が入間亜蔵なる人斬りだと知るのですが…

 というストーリーの今回のエピソードは、これまでの二、三話完結のものと異なり、ほとんど丸々一冊を使った――そしてそれでも終わらず次の巻に続く――長編エピソード。
 その長くなった分の描写は、主に火付盗賊改側に費やされ、むしろ石影は脇に引いている感があるのですが、しかし今回についてはそれがうまく働いている印象。

 人か妖か、使う「力」の正体も不明な敵の凶行を描くに、まず常人たる火付盗賊改をもって当たらせ、敵の人知を越えた力を存分に描いた上で、石影出馬――というのは、物語を演出する上で実に正しいと思います。
(ちなみに人斬り・入間に対する火付盗賊改側の総力戦がかなり無茶でちょっと面白かった)

 そしてクライマックスに描かれる敵の能力も、そのアイディア自体はさまで珍しいとは思いませんが、ビジュアルとしては実に面白く、まさに漫画として説得力は十分。
 それに挑む石影の技も、溜めた分だけインパクトがあり、バトルものとして盛り上がってきた印象もあります。


 ただし――同時に足を引っ張っているのがビジュアルというのもまた真実。
 私は時代ものの考証ごとにはかなり無頓着な方ですが、それでもこれはひどいと思わざるを得ないような髪型のキャラクターが脇役とはいえ出てきたのには、唖然とさせられました。

 確かに些末なことかもしれませんが、しかし、この世にあり得ざるものを違和感なく描くということは、それに対するこの世のものをも違和感なく描くということ。
 絵師が主人公の作品であれば、それはなおさらではないかと思うのです。


 今回のエピソードもおそらくは次の巻で完結とは思いますが、そこまでをどのように描いてみせるのか…さて。
(あと、毛羽毛現は出てくるのが遅すぎたと思います)

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