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2011.03.10

「骨法伝説 夢必殺拳」 骨法に仕掛けたガチ

 はるか古代、神の意志を伝える預言者・火神子は、邪馬台国の大蛇王が国を滅ぼすと予言する。それに怒った大蛇王は、火神子抹殺のために配下の八大戦士を放つ。火神子を守る宿命を背負った青年・夢火古は、一族に伝わる必殺の武術・骨法で大蛇王に立ち向かう!

 もしかするとご存じない方も多くなってしまったかもしれませんが、今から20年ほど前、「骨法」という古武術が一部で話題となったことがありました。

 広い意味の骨法は、当身技主体の武術を指しますが、ここで言う骨法は、武術家・堀辺正史の唱える武術の名前。
 古代から伝わる一子相伝の武術である骨法をベースにした実戦武術として喧伝され、プロレスラーが数多く入門したことにより知られた武術であります。

 その独特の構えから繰り出される、ユニークな技だけでなく、堀部師範のビジュアルや派手なパブリシティなど、色々な意味で実に面白い存在だったのですが…

 本作「骨法秘伝 夢必殺拳」は、あの永井豪が、この骨法を題材にしたアクション劇画。簡単に言えば骨法とタイアップした作品なのですが、これが今読み返してみてもなかなか面白いのです。

 何しろ、舞台となるのは古代も古代、邪馬台国。
 強大な武力でその邪馬台国を支配する、黄金の仮面の怪人・大蛇王に対し、神の伝達者たる火神子を守って、骨法の達人・夢火古が大暴れするというのが、本作の基本設定であります。

 骨法に限らず、武術というものは、その流祖をとかく昔に求めるものですが、(本作の解説によれば)骨法は歴史に現れたのが奈良時代、成立はそれよりも古いと言われている(言っている)武術。
 なるほど、古代から伝わるというのだったら、本当に古代を舞台にしましょう! という、ある意味永井豪先生のガチンコっぷりがたまらないのです。


 さて、その本作、物語の展開はかなりシンプルで、その預言が大蛇王の不興を買い、追われる身となった火神子と弟を守り、夢火古が戦うというもの。
 終盤がかなり駆け足で、宿敵・八大戦士との対決がかなりおざなりになったりしているのですが、それはまあよくあることでしょう。
 本作の主眼であろう、骨法アクションが実に派手に描かれているのですから、良いではありませんか。

 浴びせ蹴り、袈裟蹴り、摺蹴り…骨法独自のアクションから繰り出される技(これがなかなか漫画映えするのです)は、文字通り必殺!
 父の仇・蛇馬に対して大爆発した浴びせ蹴りは、顔が腹に付くぐらい蛇馬の首をへし折り、鎧に身を固めた蛇虎に対して放つ骨法秘拳「徹し」は鎧もろともその腹をぶち抜き、吹き飛ばされた蛇虎は腹の穴に木の枝がひっかかってぶら下がる…

 とにかくやりすぎな描写ですが、しかし骨法の独特のムードと相俟って、なかなかに漫画的で良かったかと思います。

 八岐の大蛇が宇宙から飛来するという、ダイナミックプロお馴染みの度肝を抜く導入部も面白く、万人にはおすすめしませんが、私個人としては、久々に読み返してみてもなかなか楽しめた作品でした。


 ちなみに作中で夢火古に対する
「猛獣のようなその目は どこか夢を見る者の目のようでもあった‥‥」
という描写は私のお気に入り。
 かの名作「バイオレンスジャック」の「燃える瞳は原始の炎」にはさすがに敵いませんが、なかなかの名フレーズではありませんか。

 そして夢火古はその「バイオレンスジャック」にも登場、素手で魔人スラムキングを追い詰めたかなりの強豪として活躍してくれたのは、本作を知る者としては、誠に嬉しいサービスでありました。


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